ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う (海外文学セレクション)
溢れるくらいのユーモアに溢れているのに、悲しい。何でこんなに悲しいんだろう?それは実際に悲しいからだ。
「リザベーション・ブルース」よりもこの短編集の方が先に出たらしい。先に読んでいたほうが良かったかな、とチラリと思うが、何故かというともう判っているから(あるいは判った気でいるから)だ。ここには、トマスも、ヴィクターも、ジュニアもいる。ジョン・ジョンも、サイモン(バックで運転)も、ばらばらのレスターも。勿論キャラクタは違うのだけど悲しみは変わらない。
この本にあるのは全てのインディアンの悲しみ、全てのジョーク、全ての空虚。そして全ての喜び。
アトミック・ブレイン 大脳移植若返り法 [DVD]
人間の脳を他人に移植する…という話はSFの古典的テーマで映像化作品もいくつか存在します。
…おそらくは科学が魔法にとって代わってから幾歳…人間の本質が頭にあるこのプヨプヨした灰色の塊にあると知ってからこの方…多くの作家や学者やキ○ガイがこの事を妄想して来たんで在りましょう… キリスト教は勿論のこと…他の宗教や民族的道義心から言ってもあまり誉められた発想とは言えないせいで『脳移植』をテーマとしたフィクションの多く悲劇として幕を下ろします。
終幕が決まっている以上、作り手の腕の見せ処はその悲劇を如何に捻るか? と、言うことと其処までの過程の観せ方に集約されます。
この作品は時代的なことを勘案すると先ずは上手く行っているんじゃないでしょうか? ま、原子力で脳の保存と活性化が出来る…つ〜のは世界が(原爆の被害を蒙った日本以外は)『原子力』の万能性を信じていた時代なんで許してあげましょう。
なんつ〜てもこの時代…合衆国では原子力爆撃機や原子力旅客機も計画したんですから。
LONE RANGER
米国出身のハード・ロック・バンド、NIGHT RANGERのメンバーの、’92年発表のソロ・アルバム。
SAMMY HAGER、RANDY COVEN、STEVE SMITHなど参加メンバーは豪華だが、特に目を引くのは、ALLAN HOLDSWORTHとSTEVE MORSE。
ギタリストのソロ作品に、何ゆえギタリストが参加するのか不思議に思えるが、その理由はそれぞれが参加している曲を聴けば、おのずと見えてくる。
全編ハード・ロック色の強い、インストゥルメンタル・チューンが並んでいるが、その3と9は異色の作風。それはジャンルに左右されない、まさしくALLAN HOLDSWORTHとSTEVE MORSEそのものだ。
自身のキャラクターをダイレクトに披露する一方で、影響を受けたプレイヤーとのコラボレーションにより、作品の内容を更に広げ、奥行きのある豊かなものにしている。
そこまで掘り下げた作り方が、ギタリストとしての個性に忠実で、ソロ作品として意義の大きさが、はっきりと伝わってくる。