朝鮮戦争〈第3巻〉 (1977年)
1951年3月24日にアメリカ大統領トルーマンは、「(韓国と北朝鮮の)停戦を模索する用意がある」
との声明を発表する準備をしていたものの、これを事前に察知したマッカーサーは、
「中華人民共和国を叩きのめす」との声明を発表。
38度線以北進撃を命令し、国連軍は3月25日に東海岸地域からこれをを突破する。
またマッカーサーは、中国軍の進撃を絶つために原子爆弾を使おうとしたともされる。
このままマッカーサーに任せれば、戦闘が中華人民共和国の国内にまで拡大し、
それによってソ連を刺激することを恐れたトルーマン大統領は、4月11日にマッカーサーを解任した。
マッカーサーは連合国軍最高司令官の座からも解任されることになり、
4月16日に専用機「バターン号」で日本から帰国し、
後任には同じくアメリカ軍の第8軍及び第10軍司令官のマシュー・リッジウェイ大将が着任した。
この後、1951年6月23日にソ連のヤコフ・マリク国連大使が休戦協定の締結を提案したことによって停戦が模索され、
1951年7月10日から開城において休戦会談が断続的に繰り返されたが、
双方が少しでも有利な条件での停戦を要求するため交渉は難航した。
1952年1月18日、実質的な休戦状態となったことで軍事的に余裕をもった韓国は李承晩ラインを宣言し
竹島、対馬の領有を宣言して連合国占領下にある日本への強硬姿勢を取るようになった。
1953年に入ると、アメリカでは1月にアイゼンハワー大統領が就任、ソ連では3月にスターリンが死去し、
両陣営の指導者が交代して状況が変化した。
1953年7月27日に、38度線近辺の板門店で北朝鮮、中国軍両軍と国連軍の間で休戦協定が結ばれ、
3年間続いた戦争は一時の終結をした。
現在も停戦中である。
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この映画が極めてリアルに思えるのは、第三軍司令官乃木希典や、満州軍総参謀兒玉源太郎など、後に軍神と呼ばれた人々を神格化せず、非常に人間味あるキャラクターにした事が最大の理由であると思う。特に、乃木の次男が戦死し、その報告を受けた乃木が暗がりで震えながら悲しみに耐えるシーンや、第三軍救援のために駆けつけてきた兒玉と乃木がボロボロの庵で互いの心情を吐露しあうシーンなどはとても印象深かった。主演の仲代達矢さんや丹波哲郎さん、森繁久彌さん、三船敏郎さんなどの迫真の演技に思わず釣り込まれてしまった。映像としてはアメリカの戦争映画よりもかなり劣るだろうが、兵士の心情の描き方に関しては比べ物にならないほど優れていると思った。戦争の悲惨さと無情さを痛感する一本である。
太平洋戦争 (上) (中公新書 (84))
「太平洋戦争とはなんだったのか?」ということについて考えたい。
ある人が私にいった。「戦後の政治や今の自衛隊の状況を理解するには、終戦を理解しなければならない。終戦を理解するには、第二次世界大戦を理解しなければならない。そして、どうして第二次世界大戦に日本が参戦したのかを考えなければならない。これを辿っていくとどうしてもすくなとくとも明治までを視野にいれて歴史を学ばなければ現代を理解できないうことになる。」そして、私に勧めてくれたのがこの「太平洋戦争」という本だ。
大変な労作だと思う。正直、この本を読むまでいかに日本が緒戦で勝利をおさめ、いかに終盤にいたるにつれて日本が、日本人が苦しい、すさまじい戦いをしなければならなかったか、知らなかった。兵士だけでも200万人以上の戦死者が出たと言う事実をよく理解していなかった。また、農協から食管法、大政翼賛会から自民党、それから多分電通にいたる戦後の政治や社会の要素が戦時中に形作られたかのプロセスがわかった。
逆にいえば、いまの軟弱な我々から見れば、どれだけ燃料も、食料も、情報も、技術も、弾丸も、兵器も、不足している中で我々の父祖達がいかに戦ったという事実をこの本から学びたい。いまの我々が、戦犯、戦争責任ということを語るときには、いかにも自分達は正しい岸に立っていて、戦争について意思決定をした指導者達を断罪する資格があるような錯覚をもたらす。しかし、戦犯とされた彼等が日本の国を滅亡させようと意図してこの戦争を起こした訳ではない。企図しなかったから、罪がないというのではない。一度は、自分自身を当時の状況においてどのような選択肢を選べたか、どれだけ恐怖心を自分で克服できるか、やってみるべきだということだ。
今は、ここから安易な教訓を引き出したくはない。ただ、この歴史の事実と向きあうために、本書を再読したい。
太平洋戦争 (下) (中公新書 (90))
上巻の書評にも書いたが、客観的な書き方が安心感を生み、悲惨な歴史を最後まで読ませてしまう。太平洋戦争の全貌をとらえる入門編の本として、価値が高い。歴史の批判にも答えられる本である。中央公論新社は是非とも長く出版を続けてほしい。もっとたくさんの人にも読んでもらいたいので新装版を出したらいかがか。