夏目房之介 グッズ

夏目房之介 マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法 (NHKライブラリー (66))

橋本治が『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』にまとめられる文章を書いていた1970年代は、まんが評論の歴史では一つの山をなしている。批評の筆をふるいたくなる作品・作者が輩出した時代だからでもある。しかし、それ以前以後にくらべて評論の中身に本質的進歩があったかというと、それはまた別の話である。質が変わったのは、吉本隆明の『言語にとって美とは何か』の方法論の影響を受けた夏目房之介が、まんがの要素は個々のコマに描かれた絵だと規定し、そこからまんがを分析しまんが理論を立てていこうとしてからである。夏目の弱みは、まんがを言語などその他の表現との差異と同一の関連において捉えることが少ないことである。「まんがとは(三浦つとむ謂うところの)主体的表現が客体的表現に優先する絵画」というのが1970年代に出した、私の個人的なまんがの定義である。夏目のまんが評論が出るまで、この規定に基づくような評論(あるいはそれに類する評論)が出てくることはあるまいと、批評家一般の能力に関して高をくくっていたから、夏目の出現はややショックであった。あの『文学評論』『文学論』をものした学者の孫と知って、さもありなんとは思ったが。まじめな研究に値する書である。その割に、買ってから何年も経つのに、検討をさぼっているのだが。 マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法 (NHKライブラリー (66)) 関連情報

夏目房之介 BSマンガ夜話 ガラスの仮面 -美内すずえ- [DVD]

面白さは★五つだと思います。でも時間が短い!ガラスの仮面は60分じゃ語りきれないと判断して、-★しました。岡田斗司夫さんの発言がおもしろい。岡田さん曰く「月影先生はコスプレ」らしいですよ。 BSマンガ夜話 ガラスの仮面 -美内すずえ- [DVD] 関連情報

夏目房之介 マンガ学への挑戦―進化する批評地図 NTT出版ライブラリーレゾナント003

四方田彦が以前、漫画原論 (ちくま学芸文庫)において「漫画にあっては、修辞的な逸脱そのものがあらかじめ体系の本質に横たわっている」と述べていた。マンガにはそれ自体に「漫画とは…である」という既存の概念からはみ出していく動力のようなものが備わっているということだ。それが事実なら、それを批評する側にも、既存の枠組みにとらわれない新しい批評が常に求められているということになる。勘ぐれば本書タイトルが、「マンガ学“への”挑戦」となっているのは、そういった既存の批評術(マンガ学)を打ち破らんとする筆者の決意の表れかもしれない。本書は、マンガ論をさまざまな観点から問い直す、いわばメタマンガ論の様相を呈している。「問い直す」と書いたとおり、序盤のほうは「マンガは誰ものか?」ということをめぐる作家論や読者論になっていて、これまでもマンガに限らずさまざまな分野にて言い尽くされてきた議論のように思えなくもないが、章を進んでいけばこれまでのマンガ評論の時代的変遷に考察がおよぶ「マンガ批評小史」や、これからのマンガ評論を考える章も設けられているため、本書は後半に行くほど読み応えがあるか。とりわけ、著者自身が開拓してきたといってもよい、マンガにその技法的側面から光を当てるマンガ表現論の「限界」を考察する部分は、きわめてラディカルである。マンガを読むだけでなく批評してみたい。しかしマンガのどこをどうやって批評したらいいかわからないと身悶えている人にとっては、一見の価値あり。「今まで」を振り返りつつ、あくまで「これから」のマンガ評論を考える一冊。 マンガ学への挑戦―進化する批評地図 NTT出版ライブラリーレゾナント003 関連情報

夏目房之介 BSマンガ夜話 攻殻機動隊 -士郎正宗- [DVD]

 前 録画の番組で、夏目先生の「沈黙の艦隊の反町がさぁ」と言っている際に、「深町です…」という字幕が流れたので、この番組で、生放送当時は「何処だったっけ」と言っておられてそれっきりの、「士郎正宗特有の 機械と人間を合わせる表現」が出てると思ってこれを買ったが、出てない (マンガ夜話 (Vol.5) (キネ旬ムック)の方にはある)のでマイナス一。作者が マンガ文化に深く根ざした関西 の出版社 青心社(さすがにいしかわ先生の「関西の出版社の装丁はださい」はない)から、濃い内容のSFを出版し、結構売れたので、講談社が目をつけ「海賊版で」掲載することになり、その青心社での作品より濃い内容のマンガを、と言う旨を語る。前の作品は岡田さんも売ってたらしい。司会の大月先生が「読みにくい」と言うのに、夏目先生他皆さんが「いやマンガの文法にのっとって 普通の描き方してるよ」と言っておられる。 当時太っておられた岡田斗司夫さんが、解説をする。(マンホールの蓋は知らなかった そーだったんかー)いしかわ先生は、士郎作品の「コンピューターとの親和性」は指摘する。 BSマンガ夜話 攻殻機動隊 -士郎正宗- [DVD] 関連情報

夏目房之介 マンガ学入門

「この本はマンガ文化に関心をもつ者、これからマンガを研究しようとする人のためのガイドブックである。卒業論文であるいは他の機会に、マンガ文化に知的にアプローチしたい、その歴史と現状を再度考え直してみたい、そうした興味関心の手助けになればと企画された。……読者は本書を通じて、マンガ研究の核心にふれ広範な情報と出会えるはずである。マンガの歴史、アプローチの方法、またマンガ家や作品にまつわる基本的な知識を、最先端知見のもとに得ることができるにちがいない」。 確かに、現代におけるマンガ事情のカタログとしては優れた一冊なのかもしれない。 けれども、もし仮にこれを「学」と呼ぶに値する領域における「最先端知見」であると言うのならば、その不毛を印象として抱かずにはいられない。 本文内で、編者の竹内氏が「過去の文献の蓄積に何を付け加えるのかという自覚が研究者に必要とされるはずだが、……充分とは言えない状態にある。先行研究を参考にしない、引用しない、あるいは読みもしない」と苦言を呈しているが、つまるところ、まともな卒論の水準にすら達していない、と告白しているようなもの。 そもそも「マンガ学」という領域をわざわざ設けなければいけない話なのか、との疑問を感じてしまう点もある。もちろん夏目氏や伊藤氏がやっているようなマンガ表現論などはマンガ固有の文法、文体の話であって、然るべきフィールドが要求されるのは当然の話なのだけれども、歴史コンテクストとの絡みやジェンダー論、作家論なんて、既存の枠組みで事足りているわけで、各々のジャンルにおいて手あかに塗れ切った知識を「マンガ学」とのフレームの下でさも「最先端知見」であるかのように振りかざされてもただただ失笑を誘われるのみ。私が愛読し、本書でも度々引用されている米沢氏の仕事にしても、いわゆるニューアカの匂いの強いサブカル批評の典型様式としか思えないし。 マンガ史的に重要な作家についての記載も、ウィキやファンサイトの方がよほど充実しているし、「情報コラム」なるコーナーにしても大半は拙い。いくら各々の記事の末尾に参考文献を記載しているとは言っても、「ガイドブック」たろうとするのならば、一定のクオリティを満たしたものと認められる推薦図書のリストくらいつけてもいいような気もしてならない。 それでもまあ、一冊でマンガというジャンルにおける基礎知識を得ようと望むのならば、それなりに適したテキストなのかな、とは思う。 マンガ学入門 関連情報




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