千之赫子 グッズ

千之赫子 女舞 松竹新三羽烏傑作集 SYK-140 [DVD]

 映画「女舞」は円地文子の小説を原作として、大庭秀雄監督により製作され1961年に公開された所謂メロドラマと呼ばれる作品です。 翌年公開の「秋津温泉」で大ブレイクした、主演の岡田茉莉子ですが、当時は有馬稲子と共に松竹の二枚看板と言われただけに、27歳という若さと相俟って、その美貌と日本舞踊を得意としていた彼女の素晴らしい演技と舞がたっぷりと堪能出来る作品です。  岡田茉莉子演じる浜村流舞踊家の千弥(せんや)は、各派合同の舞踊発表会で能から採った新作「花筺」を発表するに当たり、日本舞踊を極めるため、とかく女性関係では評判の悪い能楽宗家若太夫の西川昌三(佐田啓二)に教えを請いますが、その教えは冷たく突き放されたものでした。 この退廃的で刹那主義の西川はひたすら自分自身が消滅するのを待つ虚無的な男ですが、ひたすら芸のみを追及する厳しい生き方に千弥は次第にこの男との愛の深みにはまり、西川は千弥を旅館に連れ込み関係をもってしまいます。 この連れ込み旅館に千弥が二度目に訪れた時に、旅館の老婆(北林谷榮)が同居している少女 友代(二木てるみ)に「お前の好きな女(ひと)がまた来たよ」と話すと、少女は千弥に同情して「こんな所に来なければいいのにね」と答えます。 老婆は「そうはいかないよ」「女ってものはね そうはいかないよ」と独り言を呟きますが、千弥の女としての情念を語り尽くしている名場面です。 しかし、北林谷榮の味わい深い演技の素晴らしさはどこから来るのでしょうか。老婆役を演じさせれば右に出る役者はいませんが、子役の二木てるみと共に下手をすると主役を喰ってしまいかねない燻し銀のような演技です。 ところで、この作品を紹介する映画サイトの全てが、この旅館の老婆を浦辺粂子が演じていると記述されていますが、これは北林谷榮の誤りで映画冒頭のクレジットを見れば解ることなのですが、もしかすると「映画年鑑」で誤った記載がされているのかもしれません。過去に「映画年鑑」の校正をたまたま手伝ったことがありましたが、洋画、邦画共に年代や出演者についてかなりの誤植があったため指摘しましたが訂正されていませんでした。 この映画では、舞踊構成振付では花柳啓之が、また、能楽指導では野口禄玄が当たり、さらに、尾上梅幸が特別出演する等、本格的な日本舞踊を見せていますが、岡田茉利子がラストの春の発表会で演じる「葵上(あおいのうえ)」の舞で、西川の死を知らされ能面のように凍りついた無機質な顔の中に見せる悲しみと鬼気迫る舞を見せる演技には圧倒されてしまいます。これぞ、岡田茉利子の芸術でしょう。 この映画の最終部、千弥の舞を見た観客席の弟子達からは、「師匠は凄いわ!」と囁き合いますが、この恋に燃え尽きた主人公、発狂したのではないかと思わせるラストです。 そして、華族の五條克子演じる杉田弘子、国文学者の布川教授演じる宮口精二、朝弥演じる岩下志麻、そうそうたる俳優の素晴らしい演技が堪能出来ます。 女舞 松竹新三羽烏傑作集 SYK-140 [DVD] 関連情報

千之赫子 愛と希望の街 [レンタル落ち]

『私だって鳩を売るかもしれませんわ。大切なものを生活の為に手放す事をするかもしれないわ』大島渚の監督デビュー作。日活の『いつでも夢』を見ているような場面を描いているけれど衝撃のラストシーンが待っている。格差が拡がる今、何も古くない。 愛と希望の街 [レンタル落ち] 関連情報

千之赫子 アリの街のマリア

これも、私が何度も愛読している児童書です。「アリの街のマリア」で有名な「北原怜子」さんの児童用自叙伝なのですが、わかりやすい中にも、大人が読んでも「はっ!」とさせられる、あの北原さんでも「自我を砕かれる」体験をなされたことを、子供でも十分判り易い平易な言葉で書かれています。一つ目は、怜子がアリの街の子供たちを修道院のクリスマスに呼び、ご馳走をした後、アリの街の会長さんに「だから私はクリスチャンと言うものが大嫌いなんだ」と言われるシーン。「貴女がなさったことは、ただご自分が『アリの街の子供たちに美味しいご馳走を食べさせた』と言う、自己満足でしょう?だから私はクリスチャンが大嫌いなんだ。本当に貴女がアリの街の子らを思うのなら、今日子供たちに食べさせたご馳走を、365日いつでも子供たちが食べられるようにしてあげるのが、本当の慈善では無いですか?貴女のはただの自己満足です」二つ目は、療養中に、新しい子供たちの先生がアリの街に住むようになったこと。怜子は「私こそがアリの街のマリアなのだ」と言う自負をこてんぱんに砕かれます。「ああ、私が居なくても、子供たちにはちゃんと私のほかに先生が居るのだ。神様が私のおごった心を罰せられたのだ」と涙ながらに悔い改め、これまでの自分を褒め称えた新聞記事や全てのスクラップ記事を全て焼き捨て、一人礼拝堂で悔い改めの祈りを捧げるシーンは圧巻です。お子さんと一緒に、大人も読める、平易であたたかい児童書です。たくさんの方に読んでいただくことを祈りつつ・・・。 アリの街のマリア 関連情報




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