駅近だから大丈夫、湾岸エリアはまだ上がる---そんなマンション神話はもう崩れる。立地の良し悪しなど無関係。マンション価値
2020年問題 グッズ
著者は最近、不動産資産の収益性を重視した視点を一般向けに紹介する本を、立て続けに出している。本書はマンションの資産価値が幻想であるという話。この数年でマンションの建設コストは30%上がっている。その値段はマンション価格に付け替えられているので、今の割高な分譲価格は資産価値とはいえない。その一方で、都内の空き家は80万件を超える。このペースでは空き住戸が増える一方だという。そもそもマンションは「みんなで一つの商品を買う」という共同体意識が必要だ。でも区分所有という特殊な権利のため、「俺はこの家のオーナー、家の外は知らんし、金も出さない」という人がいる。だが、合議制のため全会一致じゃないと進まない。エレベーター、ロビー、外壁など共用部は修繕費用がなければ劣化する。建て替え時期がきても、在住40,50年目の住人は老人ばかりで、今さら、金や時間のかかることはしたくないというのでそれもできない。これまでに国内には600万戸のマンションが建てられた。今も毎年首都圏で10万戸の新築物件が出ているのに、建て替えはこれまで200棟足らず。住人が死んで櫛の歯のように抜け、建て替えも管理もできない「スラムマンション」が国内いたるところに現れるのではないかと著者はみている。ましてタワマンは、設備がかなり割高だ。上層階住民しか使わない、ゲストハウス、図書室などもある。イベントもある。それらの資金源は管理費だ。高速エスカレーターや外壁工事も桁違いの修繕費がかかる。ただでさえ住人が多いのに、中国人が投資で購入しているケースが多い。トラブルが生じやすく管理修繕費も出さない。合意形成などできるのだろうか。そして、東京五輪前後で売り抜け、暴落する可能性すらある。全く絶望的なマンションの未来を、著者は提示する一方で、「国や自治体が出資する機構、役割を終えたマンションを全戸買い取り、必要な施設を建てる」という対策も書いている。そんなに大規模施設の需要があるかとも思うが、まずは建て替えや減築などをしやすくすることが優先だろう。戦後の「新築重視」のつけは、将来世代がどういう形であれ払うんだろうなあ……と気が重くなった。見立てが鋭く、かつ生活に極めて大きな影響を予見した、優れた本だと思う。 2020年マンション大崩壊 (文春新書) 関連情報
今までに聞いたこのない切り口がたくさんくあり、ハッとさせられることが多かったです。・人口減少によって、日本経済は縮小(企業経営の悪化、地方の過疎進行、税収減少による財政破綻危機など)するが、 これらの問題の原因は本当に、人口減少なのか?本当の原因は、人口増加を前提にした「現在の経済社会システム」ではないか? 人口減少が原因であれば、労働力確保(移民も含め)や出生率の向上、が対策となるが、 現在の経済社会システムが原因であれば、経済社会システムの変革、が対策となる。・年功賃金制の3つの特長は、1)年齢とともに賃金が上昇する、2)欧米と比べて、企業間の賃金格差が小さい、3)年齢による生活コスト上昇を保障する「生活給」、 であり、年功賃金制は、軍事体制経済の産物と考えられる。 A.戦時下では、国家への人的貢献の対価に差があるべきではなく、能力による賃金格差は、戦時下ではむしろマイナスと考えられた。 B.また、戦時下では、従業者移動防止令で、転職禁止とした。労働生産性が上昇すれば、賃金が上昇するのは当然の市場メカニズムであるが、 より高い賃金を求めて企業間を移動する労働者の行動を禁止し、年功賃金制を実現した。・ある意味では、日本人は、軍事経済の賃金制度に、戦後60年ほど縛られてきた。その制度が終わることによって、人々は多様な生き方に向かう。・労働生産性上昇率と賃金上昇率を考えると、1960年から1985年までの25年間で、日本では、 労働生産性は4.43倍になり、賃金は3.66倍になった。前者に比べて、後者の上昇率は82.6%にとどまっているが、 他国では、アメリカ107.5%、ドイツ117.2%、フランス116.9%もある。なぜかといえば、日本だけが、「生活給」だったからである。・1960年代ごろ、日本の工業製品は、海外では「安かろう、悪かろう」と言われたが、 1970年代以降、「値段の割には、高品質(=お買い得品)」と言われるようになったのは、「生活給」の制度で、賃金を抑えたから。・労働生産性が上昇すれば、労働の成果として、労働者が賃金上昇として受け取るべきであるが、「生活給」の制度下で、労働者が受け取っていないのであれば、 誰が受け取ったのか?誰が得をしたのか? A.戦時では、軍備を割安でできた政府であり、 B.戦後から1980年ごろまでは、「飢餓輸出」と言われるほど国内価格より輸出価格を大幅に引き下げ、それを享受した外国人である。 C.1980年以降は、行き過ぎた機械化のため、労働者一人当たりの付加価値が伸びなかった、つまり、誤った投資行動のために、得られたはずの豊かさを逃がし、 過剰な生産設備だけが残った。あえていえば、この四半世紀、一番得をしたのは、機械だった。以上の気づきだけでも、この本を読んだ価値があると思っています。 2020年の日本人―人口減少時代をどう生きる 関連情報
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認可保育園が生き残っていくには、地域の状況分析が不可欠ということが、良く理解できました 社会福祉法人立保育園2020年問題-待機児童解消後にも生き残る保育園を目指して- 関連情報
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