林静一 グッズ

林静一 林静一美人画集

この『林静一 美人画集』は林静一さんの生誕70周年記念に出版された画集です。上品な淡い背景にくっきりと浮かび上がる、和装姿に横顔の美人画は林さんの定番ですが、同時に作品に込められたタイトルも素敵な響きを持ったものばかりです。日本人に忘れ去られようとしている美しい日本の四季折々の風習や所作、言葉遣いまで女性画を通して伝わってくるかのようです。小道具や着物のデザイン、日本固有の草花など細かい部分にも気配りの行き届いたものですが、加えて背景と人物のバランスや構図にも目を留めてしまいます。古い作品集で知り覚えた作品であっても、画の並びや編集の流れ、そして現代の印刷技術で林さんの美人画が鮮やかな趣を持ったものになっています。主なタイトルの判明している掲載作品は以下の通りです。夢見花 1970おてだま 1995女と 2002ちとせあめ 2000ひなあそび 1998立ち姿三姉妹 1996春草(とタンポポ) 1995お茶の時間 1995ひととき 未詳十九の夢 1990年代夢桜 1992早春 1991花火 1989つばめ 1992山茶屋 1989月見 1989もみじ 1992冬の心 1991桜子 1980ねこと紙風船 未詳憂い 1982夢の蝶 1978ふっ 1979春のかおり(春の詩) 1980年代黒 1986ラブ・レター 1991花嫁お月さん 1978雨ふりお月さん 1990儚夢 1978浅い夢 1980浜木綿 1979白檀 1977少女 1979千代紙人形 1978初恋 1978あやとり 1970うたた寝 1970年代心景美人画 1976夜会 1989少女 1995おとしもの 1989KAORU 1992MIKI 1992REIKO 1992想夢曲 1991山道 1988ふるさと 1989いろり 1988ジグソー・パズル 1980買いもの 1970夏草 1980年代山小屋 1980ベニス 1980ニース 1980ヨット 1981クリスマス 1981まちわびて 1982コール・ミー 1978蜜の味 1970年代夢の先 1982女と 1983潮騒 1978たばこ 1980みつめて 1979夏の調べ 1991恋手紙 1988天までとどけ 1980思い出 1978おもい出さないおもい出 1977近年の「書店経営」表紙画や仙台の名菓「萩の月」のパッケージ装画、あるいは画自体はちゃんと残っているにも関わらず作品名や制作年のはっきりしないものもそのままの形で掲載されています。注目は、室生犀星の世界に挿絵を描いた「リリー・マルレーン」のように原画自体が失われてしまっている作品もその一部を執念で復刻がなされています。他にも怨霊血染めの十字架(発見の会)と邪宗門(演劇実験室・天井桟敷) の70年代初頭のポスター画が二点と、当時提供されたレコードジャケット画や一連の寺山修司作品の角川文庫の表紙を飾った書籍画、ロッテの雑誌広告の宣伝用に連載された2006年の「小梅の初恋絵草紙」全15話を見ることができます。少し意外だったのは、2014年にLampという日本の音楽グループのアルバム『ゆめ』のジャケット画に提供した作品が掲載されていなかったことでしょうか。構図や雰囲気は1983年の「女と」に少し近いものはありますが、現在の優れた作品をぜひ収めてほしかったです。最後に掲載されている対談はかなり専門的な内容も含まれています。その中でも考えさせられたのは、圧倒的に美しい江戸時代の春画の世界を再評価した海外へその種の画を描きたい旨を伝えると断られるという奇妙な事情です。この画集には掲載されていないのですが、女性のヌードに対して普遍的な画題と捉えて描いた「ph4.5グッピーは死なない」のニュアンス、例えばこの画集では1982年の「夢の先」の発展形のような方向性がまだ手付かずのままだというのは現況の美術界において大変な損失であるように感じました。それから着物の考案まで行う林さんが目の当たりにした、慶長縫箔という国宝級の技術を気軽に作品に応用できない敷居の高さと縄張り意識の介在は、一個人のもどかしさや不満以上の現代美術の発展を阻害する出来事でしょう。恐らく同業者にとってはその意気込みを含めて色々と得るところが大きいはずです。何よりも、作りたいものが作れない、描きたいものが描けないことほど不幸なことはありません。まだまだ新作へ果敢に挑戦する林さんの、作品鑑賞からだけでは掴めない事柄が、この画集の林さんの言葉の端々から伝わってくると思います。 林静一美人画集 関連情報

林静一 連句アニメーション 冬の日 [DVD]

 僕はアニメについては今まで余り関心はなかった。もちろんノルシュティンの作品や川本喜八郎の「不射之射」などはその内容が心から消えずに残っていたが。 それが、アニメの達者をまとめて、芭蕉の「冬の日」が表現されることに大変驚いた。各作家の表現の豊かな個性、これこそがアニメそのもの、独自性だと思う。そして、どの作家も他の作家の個性に引きずられずに大家をなしている。 しかし、この「冬の日」を見て、芭蕉「冬の日」を理解したと思ってはいけない。ここに落とし穴がある。各アニメ作家の芭蕉への理解もそれぞれに程度の差がある。「冬の日」に対する表現の一端と思っていた方がよい。大体において、ろくに芭蕉句集「冬の日」を全編読んで理解しないで製作した作家や視聴者もいる訳だ。芭蕉風といったイメージやインスピレーションだけが先走っている点も見受けられる。もっと、幸田露伴などの評釈などを読んで作って欲しかった。というのはそれらの評釈には個々の句の説明が十分に説明されているのだ。そうすればもっと人間芭蕉や当時の文芸のエッセンスがアニメの底に澱んで、アニメのもっと大胆な表現力の大きさが出たろうと思う。 それにしても、それぞれの絵はすばらしい。 せめて、芭蕉七部集はともかく、「冬の日」の残りの巻も作って見させて欲しい。  連句アニメーション 冬の日 [DVD] 関連情報

林静一 うた絵本「赤色エレジー」

30年以上も昔、大学入試のために上京した際、私鉄沿線の街の本屋さんで見かけた、あがた森魚、林静一の「うた絵本『赤色エレジー』」 。シングルレコードが封入された絵本の装丁だったので、書店で販売されていたのだと思います。私の住む田舎町には出回ってなかったもので、喉から手が出るほど欲しかったのですが、貧乏浪人の身ゆえ、購入を断念。そして、運よく学生になることができ、紀伊国屋書店などをうろつく頃には、この本は絶版になっておりました。以来、頭の片隅に、この絵本のことがこびりついていたのですが、こうして復刻版を手に入れることができ、ある種の感慨にふけっております。CDに収められた曲は「赤色エレジー」「清怨夜曲」のみですが、映像が目に浮かぶような、あがた森魚の演劇的歌唱の原点がここで確認でき、何の不足もありません。そして、CDサイズの復刻版と思いきや、シングルレコードサイズで、ハードカバーの豪華な装丁。メンコのオマケや、高田渡さんの賛辞が寄せられたライナーノーツ、あがた森魚がインスパイアされたという、林静一の切なすぎる劇画が封入されており、正に「お泪頂戴ありがとう」と言うしかありません。三畳一間のアパート、せんべい布団にくるまった、清く正しい男女が、愛のみを糧にして暮らす、というような世界が、サウンドとビジュアルの両面で、攻め立ててきます。都会の一人暮らしを体験した方なら、この世界、分かって頂けると思うのですが・・。 うた絵本「赤色エレジー」 関連情報

林静一 淋しかったからくちづけしたの―林静一傑作画集 少女編

イラストレーター、漫画家として知られる、林静一氏の、「少女」をモチーフとした作品を集めた、久々の画集。(あの「小梅ちゃん」の…というと、わかる方も多いでしょうか…?)70年代から2002年あたりまでの、90点以上の集大成で、その叙情と、時々見せる透明な艶っぽさが堪能できます。ソフトカバーで、大きさもA5変形と…購入前は安っぽい印象じゃないかと心配していましたが、実際に手に取ってみると、氏のイラストの雑味なさもあってか、とても手頃&充実した1冊との満足感を憶えました。「はる」「なつ」「ゆめ」「あき」「ふゆ」の5章構成で、氏ならでは(あるいは、日本の絵の伝統でもある)"線"と"面"の美しさを、静かに鑑賞できます。余談ですが、某100円ショツプのグッズに使われているイラストの多くも収録されていて、ある意味なじみ深い面もあるかも。もし手に入れたら、ぜひ、赤いカバーをめくってみて、本自体の装丁への心遣いの細やかさにも注目して欲しい1冊です。 淋しかったからくちづけしたの―林静一傑作画集 少女編 関連情報

林静一 赤色エレジー (小学館文庫)

文庫で初めて読みました。若くてお金のない恋人、という話の筋のほうはかなりしみったれていますが、絵がとにかく斬新で楽しめました。印象的なシーンもたくさんです。幸子のユビピストルで撃たれ、ぶっ倒れる一郎のところが特にぐっと来ました。 赤色エレジー (小学館文庫) 関連情報




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