くりいむレモン 夢のあとに [DVD]
この作品は、決して飛び抜けて刺激的であったり、斬新であったりするわけではないけれど、丁寧に作り上げられているように感じられます。現在のVシネマ界は、予算も時間も驚くほど少なく、そしてキャストスタッフともに必ずしも実力のある方ばかりではなさそうです。そうした中から生まれてくるものというのはやはりおもしろいものは少なく、マニア以外の人にも訴える希求力はありません。そういった中で、この作品の「丁寧」という感触は得難く、うれしいものです。必ずしもたくさんの人に評価されるものではないと思いますが、少しでも多くの人に見てみて欲しいなと思います。
くりぃむしちゅーのたりらリラ~ン ベタドラマDVD 恋愛ドラマは散々ハラハラさせておきながら結局ハッピーエンド編
ヤマ場での挿入歌がOA時と違っていることを多くのレビューで指摘されていて同感なのですが、つけ加えるならTV放映時と同様のバージョンも特典として収録してほしかったですね。シリーズのOAになじんでしまっているので、淡々と進行するドラマ部分だけ見せられると多少違和感があります。レンタル版では副音声すらないので、物足りないこと限りなし。
ワイプでのスタジオのリアクション、次課長などゲストたちのこだわりベタでの盛り上がり、眞鍋かをりや関根勤の大泣きシーン……ベタドラマ自体の感動とスタジオでの笑いの両方があってこそ、このシリーズにはリアルなドラマと異なる抜群の楽しさが成立しているように思います。
多少販売価格が高くなっても次回作ではその辺を期待したいところですが、肖像権・著作権など権利関係で難しいのでしょうか。
キッチン (角川文庫)
主人公の女子大生が、唯一の血縁関係である祖母を亡くしてしまうところから話は始まります。
彼女は、身寄りを完全に失い、孤独や倦怠感に悩まされながら生きることを考えます。
作品を一言で表現してしまえば、「恋愛小説」です。
しかし、ストーリーのベースには、常に【孤独とはどういうことか】が敷かれていて、
その展開は、一般に言うような恋する気持ちを追いかけるものではありません。
人間は、誰しも絶対的に孤独であるということを理解したときに、
恋愛というものがどう目に映るかを鮮やかに表現していると思います。
沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実―日本軍の住民自決命令はなかった! (ワックBUNKO)
92年に出版された『ある神話の風景』の改訂版です。
戦後生まれで、気楽に生きてきた典型のような私などは深く調べずに、
【沖縄では第2次大戦の時に、たくさん自殺したらしい】としか理解していませんでした。
そして最近、新聞でこの本の発売を知り、読むことになりました。
非常に微妙な事情があるようです。
一大尉が、沖縄の住民に対して集団自決をするように強要したのかどうか。
命令があって、住民は自決したのか。それが嘘だとしたら、どうしてそんな嘘が広まったのか。
「沖縄での集団自決は、隊長からの命令があった」とされていた中、住民の遺族の方や大尉本人たちは、それをどう受けとめていたのか・・・。
【沖縄で、昔戦争中に軍が命令して、たくさん自殺させられたことがあったんだって】
という程度の認識の方は、ぜひご一読下さい。
言われるまでもない、そんなことは知っていると思われた方でも、事実が変化していく背景を巧みな構成で、ドキドキするほどに後半へ進むほどに分かり易く説明してくれる様子は、充分に楽しめるかと思います。
(2010年1月30日 修正しました。)
くりいむレモン 魔人形 [DVD]
長澤つぐみの素晴らしい演技を堪能出来る作品です。
海岸で二人が再会するところが凄い。
「憶えていないのか」と詰め寄られた後、機能不全を起こして去って行く時の足取りが、人間じゃないような歩き方になっています。
ついに記憶を取り戻した場面も良い。
焦点が合ってない目付きで振り向いて、失神するまでの一連の流れが素晴らしい。
再び二人が結ばれるシーンでは、一抹の不安を抱えながらも、愛に溢れた姿が美しい。
設定上の技術面では、かなり頑張ってると思います。
PCでTV電話の様に会話しながら、それに重ねてディスプレイにデータが表示されたり、とか。
携帯電話が一度も画面に出て来ない、恐らく意識的にそうしている(すぐに陳腐化する物は画面に出さない)、とか。
「治療」と称して口に突っ込んでるエイリアン・ヘッドみたいな器具は、一切説明が無い分、かえって説得力がある、とか。
しかしながら、ツッコミどころ満載な作品なのも確かで・・・。
死んだ脳を人工知能に置き換えたのなら、予めデータを記録してない限り、記憶なんか受け継がれない、とか。
その人工知能の動力源はどうなってるの?とか。
操作している部屋はあの程度でも良いけど、せめて何処かにサーバーがあるような描写が無いと、とか。
脳に置き換えたハードを一切見せないのは分かるとしても、製造しているクリーンルームを扉だけでも見せて欲しかった、とか。
でも、それだけ欠点が有っても、長澤つぐみの演技で全て補いが付きます。
少なくとも、本編のドラマを見ている間は気になりません。
それどころか、不覚にもラストでは感動してしまいました・・・・・。
「くりいむレモン」で感動する日が来ようとは・・・!
それにしてもこの話、色んな事が全然収拾が付いてないですから・・・続編とか作れそうな感じですね。