重要なのは、ラモンが死を切望しているのは、
弱さからくる逃避ではなく、確固たる意志を持ち、ただ尊厳を勝ち取るためだということですね。
その分、より生と死がはっきりと見つめられた作品に仕上がっていると思います。
それでも果たして法が、世が、家族が、尊厳死を認めるか否かといったら、とても難しい問題ですね。非常に切実な問題だと思います。
ラモンの「自分の人生には尊厳などなかった」という台詞がとても悲しかたですね。。。
それでも、これは、主人公が明晰な男であることも一因していますが、
大袈裟な演出は一つもなく、物語は非常になだらかに運ばれていきます。
ラモンにとって如何に死というものがすぐそこにあるものだと認識されていたかが示されているように感じましたね〜、切ない。。
死というもので果たして尊厳を勝ち取れるのかどうか、正解はないでしょうが、
少なくとも彼のそれを勝ち取るための訴えや闘いこそは、まさに尊厳を勝ち取るためにあったような気がします。
生と死を考え詰め、思い詰め、自分がいかな存在か目をそらすことなく真っ直ぐ見つめる男。
生死の価値観はともかく、その誇り高さにはこの映画を観て学ぶものも多いのではないかと思います。
単純に「感動した!!」なんて言葉では表現できない良さがありました♪
各国で映画賞を受賞している作品とあってかなり期待して観たのですが、全く裏切られることなく、素晴らしい映画でした。 事故で首から下が不随になってしまった主人公ラモンが尊厳死を望んでいく…という話で、彼の意思を尊重する人と見守る人、反対する人…(でもみんなラモンのことを愛してる)周りの人達の想いを絡めながら話が進んでいきます。 個人的には、心が自由になるために死を望むというラモンの考えにはとても共感できるけれど、家族や周りの人達の気持ちももちろん理解できる。唯一正しい答えなんてのは無いように思いますが、色々と考えさせられます。 それでも、テーマが重い割には全体的には不思議と爽やかな印象を残していている作品です。尊厳死を扱った映画でもあるけれど、ラモンをとりまく二人の女性との恋愛映画でもあるんですよね。 ラモンが車に乗せられて車窓から見る何気ない風景の躍動感や、空想の中で海辺まで空を飛んでいく映像も本当に素晴らしい!! 好き嫌いの分かれる映画のようですが、是非一度ご覧いただくことをオススメします。
100曲入ってるということで、どのような順番で曲が入ってるかと、思ってなんですが、テーマ別に、〔例えば ドライブ編、お休み編、頭をすっきりしたい時、おはよう編)自分の気分に合わせて曲が聞けるので、とってもききやすくてしかも、たくさん入ってるので、聞き飽きることもなくよかったです。
このレビューのタイトルだけで十分言いたい事は言った気がする。
現実の立体に近いほど臨場感があるのではない、とこの映画で知る。また、薄々3Dを嘘臭く感じ、それを証拠を持って説明出来ずにいたが、「ほら、これをご覧よ」と言いたくさえなった。
自由な映像表現に、こちらは気が楽になって行きさえする。体が動かない人の物語なのに。フランス人にしか撮れない映画かも知れない。
体験は何でもハッピーなのではない。この物語の最初は、「どうしようかしらん」と思うほど、私の体に入り難かった。でもこれが、スポーツや、気候の違う外国に降り立った時の様に、慣れてくれば逆に何が問題だったのか忘れてしまう程、自分と一体化してマスターして行く、そんな心地良さと共に物語が進むから不思議だ。
そう、この映画から、自分の不思議を体験する事にもなると思う。フランス映画得意の、明るい空や、流れる空気な映像も、それを可能にしているのかも知れない。貴重な体験を人生に持てる映画だと思う。
BOXセットが出るなんて、制作者はファンの落としどころをよく知っています。幻の短編「ヒメノプテロ」「LUNA-月-」が収録され、今では簡単に手に入れることのできなくなっている大傑作『テシス』も入っているのですから。映画ファンを自認する方なら必携の一品です。長編3本は既に持っていますが私も買い直します。本当に優れた映画群なのです。 監督アメナーバルはまだ劇場公開長編を4作しか撮っていませんが、それだけで映画の天才の名をほしいままにしている「本物」です。今回のBOXで彼の辿ってきた軌跡を今一度追体験できることでしょう。本国スペインで興業成績の新記録を打ち立てた『テシス』、『バニラ・スカイ』としてハリウッド・リメイクされた絶品『オープン・ユア・アイズ』、その効果あってハリウッドで制作された悲痛なゴシック・ホラー『アザーズ』、そして待望の新作『海を飛ぶ夢』は感涙のドキュメンタリー…。彼が世界に通じる作品を撮り続けてきたことや、一貫して現実と夢・虚構が交錯する幻想世界をテーマとしてきたこと(ドキュメンタリーである『海を飛ぶ夢』でさえ、まさに「海を飛ぶ」素晴らしい幻想シーンが一つの山場なのです)、そして自作の音楽が映画全体に荘厳さと格調を与えていて、作品の高品位から切り離せない要素だということ、等々がよく分かるのです。 彼がハリウッドに招聘された時、彼の才能が食いつぶされてしまうのではないかと1ファンとしてはハラハラしていました。ところがどうして、かえって彼は作家的成長を遂げ、本来撮りたかったのはこういう路線だったのではないかと思わせる新作を見せてくれました。確かに『海を飛ぶ夢』はそれまでのトリッキーで驚愕のラストがある映画とは毛色が異なっています。ヨーロッパには今でも素晴らしい映画と作家が息づいており、特にスペイン映画の充実は見事なものです。その至宝、アメナーバルの素晴らしさをご鑑賞下さい。
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