私は高校生の頃『別冊スクリーン』を愛用していたので『ディープ・スロート』もよく知っていました。そして本作で断片的だった周辺情報を歴史的に知ることが出来て大満足。L.ラブレースの物語は田舎から出てきた女性が辿る「落魄」の物語ではなく、実はカウンター・カルチャーの嵐に影響された普通の女の子の「解放」の青春譚なのだという事も分かりましたし、J.ダミアーノはアングラでブルーフィルムとかを撮っていた人なのかと思っていたのですが、実は独立系の映像作家で目指すところは本当はポルノではなかったというのも目から鱗が落ちます。まさにそれは西海岸の革命的な気運が必然的に生んだ時代の落とし子。凡百のAVや「グロテスクさを競っている」と作品中で喝破された現代米国ポルノが30年以上前に作られた『ディープスロート』に及ばないというのも当然なのです。今は金儲けに終始しているポルノが「思想」たり得た時代があったのだと、これもまた作品中で熱く語られます。映画本編を見たこともなく、そもそも同時代人として体験した訳でもないのに、私は作品中に出てきた人達と同窓会で再会したかのような浮き浮きした感じを持ちました。それはひとえに私の魂の故郷がこの時代にあるからでしょう。
悲しいことに日本人である我々はこの歴史的映画である『ディープ・スロート』を正規の形で見ることが出来ません。DVDも出ていますがそれは日本初公開時にズタズタに刻まれて30分程度になってしまった噴飯ものです。この作品がいかに時代を変えた革命作だったのか、なぜそれ程までに多くの人間が劇場に通ったのか、ユーモラスでお洒落なハードコア、その全貌は今後も日本人の我々は容易に見ること適わないでしょう。だからまだ私にとって『ディープ・スロート』も『グリーン・ドア』も憧憬の彼方にある本当のカルトムービーです。これらが作られた70年代初頭という芳醇な時代に私は今も敬意を感じます。
私の好みとしてはもう少し小編成がよいのですが、 それにしてもこの色彩感覚の鋭さはどうでしょう! ハイドンの交響曲でこんなに目が覚めたのは初めてです。 おすすめ!
この巻は、胸腹骨盤のCTとMRIの正常画像が多く掲載されています。
左ページに実際の画像があり、右ページに模式図と部位名が記されており、
見開きで完結するようになっています。
また、MRAも載っており、充実した内容だと思います。
ただし造影CTなどはないので、そこが残念なところでしょうか。
図は画像に忠実に再現されており、色分けもしてあるため、理解しやすくなっています。
画像上での臓器判別に苦労する胸部・腹部・骨盤の画像がたくさんあるので、
実習中の学生や研修医など、画像が読めるようになりたい人におすすめの一冊だと思います。
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