翻訳者の平野啓一郎が言っているように、小難しい解説やら詳しい註釈はワイルド専門家の田中裕介センセに任せることとして、ここは宮本亜門という売れっ子演出家による現代演劇としての戯曲、サロメの現代語訳はこうなるという一つの見本のようなものを楽しもう。
ビアズレーの挿絵が特徴的な岩波文庫で、サロメを読んだのは何年も前の事だったが、もともとはフランス語で書かれたもので、本書は、このフランス語からの翻訳らしい。
この翻訳で平野氏が注目するのが、「みる」「みられる」ということ。ヘロディアの近習は若いシリア人を見、若いシリア人とヘロデはサロメを見、サロメはヨカナーンを見ている。預言者としてのヨカナーンは神を見るが、斬首された彼はもう眼を開こうとしない。 そして、唯一、誰も見ていないのがヘロディア・・・・・
確かに新しい訳は現代的に、瑞々しくなっているが、やはり2012年5月末から6月にかけて、この平野訳により公演される舞台を観るのが一番いいのかも知れない。
アフリカ大陸と言えば「砂漠、草原、ピラミッド」のイメージを強烈に、あるいは漠然と持ってしまっている人にアフリカ大陸を立体的に解説してくれる良書。
各国の略史や自然環境、現況の概説のほかに「バラク・オバマ大統領の“オバマ”姓はケニアはルオ族特有のもの」とか「エチオピア出身の長距離陸上選手が日本の大会でも多く活躍しているのは国土中央部が高原だから」とか、身近な事例をさらっと交えて提示しています。国名順ではなくブロックで分けた地域別に紹介しているのも資料として、というよりは親近感や興味をもってもらうためだと思います。
ジブチに自衛隊が海賊対策の海外拠点をたちあげたり、南スーダンが独立している今、基本のキをおさえたい人にはもってこい、かな。
ただやっぱり文庫版の「だいだい」なので「データブック オブ・ザ・ワールド」の「世界各国要覧」の方が箇条書きに近い横書きで、資料として使いやすいと思う。
今、大きく世界の未来のこと、日本の将来のこと、漠然と社会全体に対してあやふやな何か、不安を感じながらも、
心のどこかで『このままだと危険だ』と警鐘が鳴っていることからすら、目を背けている。
さらに、小さく自分の周囲や、自分自身さえも未来に向け、あやふやさに対して明確な答えが見つかっていないのではないかと思う。
そんな時に、自分のもやもや、そしてその解決への糸口が『言葉』で文章となっているのが、この本。
33のアイデアには、自分が感じているもやもやが、必ずどれかにひっかかる。
Changeではなく、Shift。
まずは、先人の33のアイデアを読んでほしい。
警鐘に対して、自分が大切にしたいことが、すとんと心に届くと思う。
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