マンガと英語で近代文学を覗いてみる本。
明治から昭和初期の12作品が紹介されています。各作品には18ページずつ割かれていて、その18ページが更にいくつかの小部屋に分かれているので、どこからでも読めます。まるであらかじめつまみ食いされる事を想定しているかのよう。気軽に読める本ですね。
マンガと日本語と英語で粗筋が紹介された後、『キャンベル先生のつぶやき』という部屋では原文と英訳文が示されます。日本文学の専門家であるキャンベル先生が、英訳に際して感じたことなども書かれていて、敷居の低い本書の端倪すべからざる一面が垣間見えます。
文学の紹介本としてはかなり異色の一冊かもしれませんが、読み易いです。
谷川俊太郎の詩に林光が作曲した「ほうすけのひよこ」がすばらしい。間に鮫島さんの詩の朗読が入ります。歌詞が日本語だから言葉の一粒一粒まで伝わります。ドイツ人がシューベルトの冬の旅を聴くときもこんな感動を味わうのですね。
三好達治が大好きなのですが、香月修作曲の「甍のうえ」と「乳母車」が入っています。この曲はいろんな人が曲を付けています。Lieder Nach Texten von GoetheというCD10枚のセットが出ていますが、三好達治の詩による歌曲集なんてどこか企画してくれないでしょうか。
普段あまり聴く機会のない日本の芸術歌曲。このシリーズは最後の一枚を除いて品切れになっています。歌曲は人気がないのでしょうか。ドイツ・リー トを聴く人も日本歌曲はあまり興味がないのでしょうか。でも、歌詞の意味が分かり、ちょっとしたアクセントの付け方で歌手の表現したい感情が手に取るようにわかる。日本歌曲の良さだと思います。ボックスセットで再発売してほしいと思います。
赤ちゃんのすずめに餌を与える親の描写。「チイチイと、ありッたけ嘴(くちばし)を赤く開けて、クリスマスに貰ったマントのように小羽を動かし、胸毛をふよふよと揺(ゆる)がせて、こう仰向(あおむ)いて強請(ねだ)ると、あいよ、と言った顔色(かおつき)で、チチッ、チチッと幾度(いくたび)も、お飯粒(まんまつぶ)を嘴から含めて遣(や)る」(92ページ)。この文章が、不思議な「すずめのお宿」に、いつのまにか読者を、いざなってくれます。「ふよふよ」のかわいらしさ。若い女性の方に。
文庫でよく「眉隠しの霊」とペアで一冊になっている。 泉鏡花の代表作。 文体は古いけど,ルビも振ってあるし,普通に本を読んでいる人なら読めます。 修行のために深山を歩き続ける僧侶が,ヒルの振る森を走り抜け,もう歩けないと思った山奥に不思議な一軒家があり,桃の花のような美人がいる。 絢爛豪華な怪異譚の始まり ...
高僧が後に,若い修業時代の話として,列車に乗り合わせ一緒の宿に泊まった青年に話す形式で描かれます。
兎に角美しい作品、
言葉の一つ一つが洗練されていて妖しい雰囲気が漂いながらも
その中に美しさがある、
登場する女性たちもとても魅力的な方たちで惹きつけられる、
是非一度は読んで欲しい作品の一つです。
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