三島『英霊の聲』の、平成アミューズメントパーク版。
あれ、1行書いただけで、もう言い尽くしちゃった感じ!
気を取り直して…
大戦末期、洋上を行く軽巡洋艦「橿原」が舞台。ほぼ(ほぼだよ)、ずっと艦上が舞台。
でも乗組員420名だから、群像劇の趣。登場人物多し。
最初は1人称で進むが、アレレいつの間にか三人称の神の視点。で、また1人称。
こういうの、いまや小説としては珍しくないけど、あれもしかして、これは、奥泉氏のことだから
と思ったら、やはり最後に来て想像通りのことが語られる。でも秘密にしておくね。
三島の英霊は、天皇の人間宣言を憤るが、
奥泉の英霊(まだなる前だけど)は、さっさと宗旨替えして、自分たちが独自に定めた
目的地(死に処ですね)へまっしぐら。
果たして艦船橿原が向う先はどこか。これも秘密にしておくね。
艦内は時間の経過とともに、エントロピーが増大し、収拾がつかなくなります。
そして、死へと至る生(性)の高揚。バタイユですねェ。
旧日本軍の、組織としての薄気味悪さは、私も以前から感じていました。
明確な指揮系統があるようでない、理性では掴みきれない気味悪さです。
海軍は、陸軍とは違って悪者にされなかったけど、疑惑が多いしね。
大戦中を描いて、悪ふざけが過ぎる、とご批判もあるでしょうが(どこから?)
ここまでやってこそ、見えてくるものもあるのでしょう。
奥泉さん、この調子で明治維新もやっつけて!
暗躍するグラバー、伊藤博文の操り人形大室の寅ちゃん、
男と手を取り合って入水する西郷隆盛、
奥泉氏の豪腕にかかったら、面白くなること請け合い!
サービス精神旺盛な奥泉氏のこと、寿命縮めていいから、やってくんなさいませ。
評者のようなシューマン素人にしてみれば、前半に延々と続く「シューマン論」は、「これがミステリーとどうつながるの?」と期待しつつ、薀蓄もそれなりに面白かった。 ミステリーの構成としては、結局「シューマンじゃなくてもいいのでは?」というものだった。「シューマン」と「ミステリー」をつなげる説得力が今ひとつだった。
# それにしてもライノベも含めこの手の落ちが多くなったな...
間宅の新品を、随分お安くして頂き、 また迅速・丁寧な対応で感謝しています。
内容は最高ですよ。
全く著名でない童話作家の遺稿を「発見したことにしてくれ」と頼まれあれよあれよという間にプチ有名になるとある大学の助教授「桑潟孝一」
そして「アトランティスのコイン」をめぐる殺人事件を追及する素人探偵北川エリ。
この二組の狂言回しを交互に描いて、徐々に「アトランティスのコイン」をめぐる謎に肉薄する・・・・という骨組み。
で、この「桑潟幸一」が凄いセコくて情けなくて卑怯きわまりない男なんで、読者たる私たちは「なんだかなー」と思いながら読んでいくとですね・・・・。
最後の最後で、弱くて愚かで卑怯であるが故に反転して一挙に英雄と言って良い人間に変貌するのです。
これは凄いよ。
是非一読して頂きたい傑作です。
下流大学教員クワコーと不思議文芸部員の織り成すドタバタ劇が最高に面白い!
3話で構成されていますが、特に3番目のお話が、クワコーの冴え渡る自虐の詩に、
車内で思わず声をあげて笑いそうになり、通勤途中に読むのをあきらめました。
自宅でゆっくり、爆笑させてもらいました。
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