The Devil Wears Prada (Scholastic Readers)
この本は、映画の内容とは違いまして、映画の方が救いがあります(この本の方がより現実には近いでしょうが、ちょっと悲しい感じもします)。
ですので、かなり違う作品だぐらいに思って読むといいと思いますよ。
The Devil Wears Prada
ファッション業界の実情を描いた暴露本、として読めばか
なり面白いです。有名誌の編集現場ってこんなふうになっ
ているんだ、と知らされました。
鬼上司にいびられるアンドレアに共感する人が多いのかも
しれませんが、私はむしろ鬼上司であるミランダに共感し
ました。
なぜならアンドレアは、有名ファッション誌の仕事を得た
にも関わらず、まず仕事にやる気がない!1年だけ腰かけ
で仕事をして、いずれは転職しようともくろんでいる。そ
もそもファッションに興味がない!そんな部下はイヤです。
しごかないと、職場で使いものになりません。
確かに、ミランダが部下に与える要求は、相当理不尽です。
でも、アンドレアのようなの新人は、残念ながら、どんな
職場にいってもしごかれる運命にあるのです。
ファッション誌の編集という仕事は、とてつもなく厳しい。
いい雑誌を作り続けないと、すぐ読者にそっぽを向かれま
す。だからこそ、ミランダはあれだけ部下に厳しい。私は、
ミランダは真のプロフェッショナルなのではないか、と思
います。
全編を通し、半分くらいが仕事と上司に対する愚痴のよう
な内容。この試練を通じて、自分を成長させよう、という
前向きさはまったくなし。だからこそ、肩肘をはらずに読
めるところがいいですね。
悪魔の毒々モンスター [VHS]
80年代中期はビデオバブルが業界を席巻していたこともあり、数々のインデペンデント系映画製作会社がこぞって作品を乱発していた今から思うとまことに幸福な時代であった。この時期に、いち早くヒット作を生み出し、自社ブランドを確立することに成功したのがトロマ社。そのトロマ社の看板シリーズの一作目として華々しく製作されたのが本作。低予算のホラーコメディだが、その他社の類似作品とは大きく異なるのが、確信犯的なヒドさ加減。はっきり言って映画に対する愛情が全く感じられないのであるが、その突き放し加減が時代をマッチして当時は大いに受けまくった。とにかく普通のハリウッド映画が敢えて避けて通るところばかり確信犯的に付き捲ったタブーに挑戦とかいった大袈裟なものでなく、単に不謹慎なだけというテイストは今見ればかえって新鮮だろう。こういうテイストの映画、現在ではとんと見かけなくなった。B級の娯楽要素をテキトーにごちゃ混ぜにしてぶち込んだだけといういい加減な作風は、たまに見るとクセになる。これ以後、トロマ社の作品は何でもかんでも毒々とタイトルをつけられるというプチトロマバブル時代が到来した。
作品的にはニュージャージーってこんなショボいところなのかいなとか、変身後のモンスター化した主人公よりも前半の超ヘタレの生身の人間時代の方がキモチ悪いなど、印象的なシーンが目白押し。
80年代の独立系作品ブームの最高峰がジムジャームッシュなら本作は間違いなく最底辺の最高峰に位置する。
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私は通常版より本編が長い、このエクステンデッド版しか観ていないが、あの大作を実によくまとめたものだと感心した。逆に、どこをどうカットしたのか分からないが通常版だとやや物足りないないのではなかろうか。
ただしこれは、やはり原作を読んだ上で鑑賞に臨んだほうが良い作品だと思う。そのほうがより楽しめるだろう。ヒロインが「最後の晩餐」の絵を前にして初めて聖杯の意味を明かされる場面、巧妙な仕掛けのクリプテックス、その解除コードが解る瞬間、その後暗号を解いて教会に入る場面‥。そしてラスト。謎の終着点。これらの場面など、いかにも映像ならではの楽しさを与えてくれる。
また、トム・ハンクス演じる教授が最初に呼び出される場面、謎の僧侶の苦行シーン、またその彼が終わりのほうで倒れる場面、そして主人公二人の別れのシーン。これらは原作とは若干異なる場面なのだが、むしろ映画のほうがスッキリまとまっていて良かったと思う。
総じて「監督、頑張りましたね!」と私は褒め言葉をかけてあげたい。
最後にキリスト教に詳しい者として、一言。
この物議を醸し出した大作を映画化するにあたって、この監督の一番の功績は、あくまでミステリーの謎解きに焦点を置いた事かもしれない。
キリスト教徒がまともに受け止められないような、異教の女神礼讚伝説だの、ややこしいシンボルの深読みだの、カトリックに喧嘩を売っているとしか思えないような物語の作りだの‥。そういう過敏な所は、映画では触れられていない。原作では崇め奉っていた感のある、肝心の‘聖杯’さえ割とさらっと描いていて、むしろ好感が持てた。
原作はスピーディな展開が大変面白い物語だが、ある程度キリスト教の知識がある者にとっては、実に馬鹿げた話で鼻白んでしまう。
かえって映画のほうが万人向けで、私はよく出来ていると思う。
Howl's Moving Castle
映画を観てから原作を読みました。映画との違いを比べながら読んだり、映画では描ききれていない細かい部分も原作を読むと納得できたりしておもしろかったです。設定が大きく違うのは戦争の比重で、映画の方が社会的メッセージ性が強いみたいです。
ハウルやソフィーのキャラクターは、原作の方がダメなところがはっきり描かれていておもしろいです。ハウルは根っからのプレイボーイで面倒なことはのらりくらりとかわすし、ソフィーは思い込みが激しくてやきもち焼き。でもそこが人間らしくて親しみがもてます。
謎解き的な面もあるので、続けて2度読んでも楽しめました。