佐藤健 Actor's Memory 2006-2011
2011年8月、NHKホールの佐藤健に目を見張り、「うーん。君は、やっぱりやるなぁ」と感じ入って2カ月・・・
デビューからの軌跡を夢中で読んでしまいました。
ある時点で、彼の魅力に釘づけになり、さかのぼってDVDを楽しんでいる私にとって、裏切られたことは一度もないと言えます。
そのとき、そのときにアクターの天使(?)が舞い降りてきているか、と思われるほど。
感動のリフレインを共有できた本といえるでしょう。
たくさんのファンを意識しての執筆なので、遠慮もあったと推察されますが、直に会った佐藤健の感触、空気、みたいなものがもっともっと感じられたら・・・と、よくばりな感想をもってしまいました。
これも、佐藤健の軌跡が、網羅されているがゆえの、願望というより、そう・・妄想に近いかもしれませんが。
山のあなた 徳市の恋 プレミアム・エディション (初回限定生産) [DVD]
物語は、目アキを早足で追い越すのが趣味という徳市と相棒の福市(加瀬亮)との道中からはじまります。追い抜いた学生グループを按摩することになった徳市が悔しいという思いを込めて、学生たちの足を徹底的なマッサージして、翌朝、山を登る学生たちに筋肉痛を起こさせる。そのユーモラスなスケッチは小味だけれど、ほのぼのとした可笑しさを醸し出しています。
そんな風に、時代設定も当時のまま。会話も微妙におっとりした口調。また、温泉宿も山や川の風景も美しい。全体的にまったりした進行で当時の日本人の生活ペースはこんなにゆったりと時間が流れていたのだなぁと思わせる、実にほのぼのとした遣り取りが続きます。でも、ラブコメにちょっとだけサスペンスもあります。(笑)
ヒロインの謎の東京の女役は、モデル出身で映画初出演のマイコ。美人(8頭身?)で現代的ながら、着物姿が良く似合う。そして何とも声がいい。演技はちょっと奥行きがない印象だけれど、許せます。(笑)
徳市役の草なぎ剛が役にはまっている。按摩の佇まいといい、その物腰、感情の緩急や「勘」を頼りにしているという空気感をちゃんと出していたように思います。加瀬亮も相変わらずのへたウマの味が生きています。
今、なぜ清水宏監督の再発見のカバーなのか、とも思います。石井作品としては「鮫肌男と桃尻女」「PARTY7」を思うと異質な気はするが、その後に「茶の味」を撮ってるのでなるほど繋がってるのかと思う。全体的にのんびりした作品ながら、按摩の仲間の「ないしょ〜ないしょ〜」とか、子供がこよりで鼻にイタズラするシーンとかは、完全に石井監督のタッチ。
とにかく、端正な古き良き日本の、ノスタルジックな気分に浸れる作品でした。
ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ソニー・クラシカル100
バーンスタイン、小澤征や(携帯でやの漢字が見つからず)クライバー、五嶋みどり、ヨーヨーマ、ジャクリーヌデュプレ、グールドに横山幸雄、ホロヴィッツ、パールマン、まだクラッシックを聞き始めたばかりで、皆さんのレビューを見て、
「どれもこれも聞いてみたい!しかし全部集めると!!!」と苦悩する方にお勧めです!
長い曲以外はぶち切れになっていないし、
クラッシックオムニバスものとしては、めずらしい
「さくらさくら」とか
「禁じられた遊び」のギターとか、
大島ミチルの曲や
鼓童の太鼓曲まで入っていてバラエティーに富み、
実に楽しいです。
これを聞いて五嶋みどりっていいなあ〜。
と知って、新たにCDを買うことにしました。
聞きながら
「これは誰の演奏で誰の指揮なんだ?」
と、何度もブックレットを見ないとならないので忙しいですが、
色んな人の色んな演奏を聞いて好みを決めたい方にピッタリではないでしょうか。
通しで聞いた感じでは、誰にも好まれるような、
癖の強く無い、爽やかな演奏が多いようで、
オムニバスものには
「これは嫌いだなー」と感じるような癖のあるピアニストや、
「これはもしかして下手なのでは?」と感じるような外れ曲が入っていてストレスを感じることが多いのですが、
これにはひとつも嫌いなものが無かったです。
どれもこれも安心して聞ける良い演奏だと思います。
ここからまた音楽の世界が広がって行きそうです。
飽きずに何度も繰り返し聞いてます!
斎藤秀雄 講義録
講義の録音をそのまま文章にした本。わかりやすい語り口で、演奏解釈について教えている。
これは、現在のスタンダードではないが一貫しているので説得力がある。音楽の文法を明らかにしようとする挑戦である。楽譜に書かれていることが全てで、それを詳しく細かくおざなりにしないで読み取っていこうとする姿勢である。
現在では、作曲家の生きていた時代の音を復元してそれを参考にするという考えがあるため、彼の姿勢は現代的ではない。だからこそ音楽を見るときの基準をもうひとつ持つことが出来るようになり、古い音楽と新しい音楽の差をよりよく理解することが出来るようになる。
問題といえばわかりやすく、多岐に渡った内容のために流してざっと読んでわかった気になってひどいときにはそれをそのまま他人に教えようとしたりして失敗する馬鹿が出る恐れがあること。
ヤーノシュ・シュタルケル自伝
私は自伝が好きで、たくさん読んでいるが、中でもこれはユーモアのセンスに秀でていてお気に入りの一冊。まずはじめの章が、著者の胃袋によって語られ、最後の章は23世紀ごろというSFもどきの締めくくり。
その間にあるのは、著者と彼が時を共にした友人や楽器の物語である。それを一貫しているのは、音楽に対する愛と情熱。著者は自分と適度な距離を保つことに成功している。
本の中で、著者はディレッタンティズムを技芸のみに秀で、一貫した考え方がないとして批判しているが、この書をもってして、著者はまさにディレッタントならぬプロフェッショナルであることを証左していると思った。
私も前のレビュー者同様、著者の壮健を心から祈りたい。