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欠席 ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判 (映画秘宝COLLECTION (20))

 イーストウッド作品を貶した回に、ウェインの「蓮實重彦かぶれのイモども」発言(p136)がある。ウェイン&ガースの青春時代はハスミ派の全盛期だったはずで、やっぱり意識してるんだよね(当たり前か…)。 で、2人のスタンスを考える上で、ガースの旧著『興行師たちの映画史』が参考になる(実はまだ積ン読なんですが、タイトルがね)。つまり映画トハ興行デアル、と。蓮實本人はともかく、ま、蓮實フォロアーには確かにその線は弱かった。 もう1点。俳優を評価するとき、ウェインはしばしば実人生と映画での役歴を混同する。例えば「実際に幼い頃に父親に家出されて、14歳の頃から道端で客取らされて、酒場で輪姦された」ジョディ・フォスターが『羊たちの沈黙』でクラリスを演じてるのはスゴイ、とか(p256)。もちろんガースがすぐにツッコミ入れるワケだけど、ウェインはおそらく、驀進してくる列車の映像に逃げ惑ったという、あの映画史初期の神話的観客を擬態している。そしてこの観客は現在なお、最も素朴な大衆的感性として生き残っている。蓮實は明らかにこの問題に意識的だったけれど、ウェインほどに過激に大衆を擬態することはなかった。 本書中には、ガースと青山真治のイザコザが報告されているが(p245)、これも上記のような伏線あってのことだろう。『チャリ・エン』なるバカ映画(ただし、興行的によく計算された)がキッカケらしいという点も、何だか意味深(p240)。 私は『ユリイカ』も好きだけど、青山がガースを「下衆」呼ばわりしたのは明らかに悪手。だってウェイン&ガースは、自ら下衆道を極めようとしているんだから(ただし最近のウェインには転向の兆しも見える)。 ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判 (映画秘宝COLLECTION (20)) 関連情報

欠席 ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判 3 (映画秘宝COLLECTION 37)

 初めてファビュラス・バーカー・ボーイズの漫才風映画放談を見たのは『地獄のハリウッド』(洋泉社)でした。色々な宝島社系の映画ムックで読み続けてはや十年以上、映画配給会社に殺されるのでは?という単行本も三冊目になりました。喜び勇んで購入したら何とコンビ解散宣言。「いつの間にか年月が経っていたんだな」と感慨ひとしおです。 そし今回ですが、いつもの様に舌鋒鋭くぶった斬る町山節とまめに諸情報を集める勤勉な柳下的論説は見事で、最後までスピードダウンすることはありませんでした。前二著で充分その魅力は伝わることと思うのですが、改めてこの本の良さを語るとすると「駄目なものを駄目と愛情を持って断罪する」ことと「業界ゴシップや関連作品との比較がシャワーのように浴びせられ、なぜその映画がそうであるのか、ということを浮き彫りにする」という点に尽きると思うのです。浅薄な映画ファンには耳が痛いし腹立たしいコメントばかり並んでいるように見えますが、ある程度良い映画を見て今の大作映画に違和感を持っている階層には痛快極まりありません。ダメなのはなぜか、どこが去勢されてつまらなくなったのかについて明確に語ってくれますし、『スター・ウォーズ』シリーズのようなメジャー作品の暗部も語って実に深遠です。 そして作家性やこだわりを残した作品にはきちんとした評価を下します。本書では『キングコング』や『Mr.インクレディブル』等ですが、それだけでなく過去の名作・知られざる映画に敬意を表するという点で一本筋が通っており、実に読ませます。まだまだ彼らに斬って欲しい映画が沢山あります(『ドリームガールズ』の戸田奈津子字幕には心底腹が立った)が、元ネタ「ウェインズワールド」のことすらほとんどの人が分からなくなった今日、良い契機だったのでしょう。彼らの映画魂を何とか継承して私もカスタマー・レビューを作成していきたいものです。 ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判 3 (映画秘宝COLLECTION 37) 関連情報

欠席 ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判〈2〉 (映画秘宝COLLECTION)

もはやウェイン&ガースの元ネタが判らない人も多いだろう現在も続いているファビュラス・バーカー・ボーイズの映画漫才本。ノリは前巻と同じで、バカな映画のバカっぷり・ダメな映画のダメっぷりを漫才風の掛け合いの中で適切に暴き出していきます。会話はふざけたノリですが、その裏には映画とその周辺に関する膨大な知識があり、その上で自分の正直な意見を堂々と語っているわけで、それがまた面白いのです。ただ、取り上げられている映画が前巻と比べてスケールが小さい気がするのですが、これは書籍にまとめた期間が前巻より短いせいなのか、それともヒット映画も一定時間経つと話題にもならなくなる現状の表れなのでしょうか。 ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判〈2〉 (映画秘宝COLLECTION) 関連情報




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