ヤン・チヒョルト グッズ

ヤン・チヒョルト 書物と活字

neue typographieで1920年代後のタイポグラフィーで一世を風靡したチヒョルトが、戦後「若気の至り」を放擲し、ヨーロッパ(ローマン以降)の伝統と歴史に学んだ円熟期の一冊。とにかく啖呵が気持ちいいくらいで、怖いくらいである。町中に溢れるサインやCIロゴのずさんさにこれでもかと噛み付きまくる。悪い作例は多数載せているのに、よい作例があまりに乏しいのにも、著者の意図が感じられよう。「邪道」「卑怯」「デザインの資格なし」といった強烈な毒舌が目白押し。それを、おそらく訳者が忠実に訳しているものだから、読者としては背筋を伸ばしつつも、爆笑が何度も襲ってくるだろう。日本語版の本書の造本は、見開いたとき横幅がA3サイズになる。縦はその規格を外れるほどの長さ。ある種の造本上の黄金律(欧州での)に従ったものと思われる。カバー、本文とも、緻密な構成で、眼に優しい通読性を確保している。「白」(余白)を充分にとっているのも、チヒョルトの教えに従ったものであろう。チヒョルトのタイポグラフィ論は、本文で50ページ前後にすぎず、あとはヨーロッパの書体のお手本図版集が続く。もっともっとチヒョルトの啖呵とドグマティックな口調を楽しみたかったけれど、まあ仕方ないか。とにかく彼の筆致(とそれを日本語に移し替える訳者)は読者の口の渇きをあおるのである。いちばんの悲劇は、本書が在庫切れということだ。アマゾンでも、ユーズドでも、古本サイトでも、版元サイトでも、品切れ。大学図書館などで楽しむ他はないのである。この一冊は造本の宝である。いち早い再版を望む次第である。 書物と活字 関連情報

ヤン・チヒョルト ふたりのチヒョルト―イワンとヤン

『活字に憑かれた男たち』を著した著者は、戦時下における権力者が印刷や出版の世界に働きかけて巧みに思想統制した事実を追っている。本書で語られるのは、二度の大戦の狭間に生きたドイツのタイポグラファ、イワン(ヤン)・チヒョルトの生き方。その姿勢を分析しながら、著者は常に日本人デザイナーたちの造型に対する意識を厳しく追及している。日頃、何気なく見ている「文字書体」というものの、歴史的な重みを突きつけられる内容である。 ふたりのチヒョルト―イワンとヤン 関連情報

ヤン・チヒョルト アシンメトリック・タイポグラフィ

ヤン・チヒョルトと言えば、バウハウスと同時期のドイツで東欧の構成主義の影響を受けてタイポグラフィの前衛的なデザイナーですが、その後のペンギンブックスの古典的なデザインや、書物デザイン研究などが紹介されていながら、肝心のアヴァンギャルド時代のこの本が翻訳されていなくて残念でした。ロシア・アヴァンギャルドの復活と共に21世紀のDTP時代にはぜひとも読まれるべきデザイン本の一つです。 アシンメトリック・タイポグラフィ 関連情報




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