戦いに終わりなし―最新アジアビジネス熱風録 (文春文庫)
作家江上剛さんがインド、韓国、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、中国の七ヶ国を訪れて綴ったレポートです。
ビジネスの視点だけでなく、著者が言うように日本が各国とどのように付き合うべきなのかを見つめられる著作です。
アジアビジネスに詳しくない私にとっても興味を持たせてくれる内容でした。
あとがきでは各国へ取材した後の展開も書かれていますが、刻一刻と状況が変化していることがよくわかります。
時事的な問題も感じ取れるだけに出来るだけ早く読んでもらいたい著作です。
小説 金融庁 (講談社文庫)
金融再生プログラムの仕上げとして、金融庁の検査チームが銀行の評価に対する特別検査に入る。
銀行側は膨大な不良債権の摘出による銀行壊滅を阻止すべく、専務の指揮の下で謀略画策する。
金融検査マニュアルに沿い、政治色抜きに原理主義で検査を徹底しようとする検査官。
行内派閥争いと過去の成功体験の延長線上で将来の頭取願望を抱き銀行存続に画策する経営者。
金融庁と銀行の攻防ストーリー。
銀行は自分をまもるために、金融庁に提出する融資先の資料を改竄を、
アメリカとの約束や顧客保護を目的に、
銀行の資産評価を厳密に行い、一気に垢を出そうとする金融庁側。
どちらも銀行をまもりたい気持があるのだが、
立場が異なると考え方やアクションが異なり、
展開の妙は、一気に読進ませるに十分な内容である。
小説とは関係ないが、
内部統制システムも、監査役も、
企業内が羊の集団ならば、無力であることを、この小説は暗示している。
企業とは、こういうモノかもしれない。
それにしても
第三産業銀+芙蓉銀+日本興産銀(=イナホ銀行)
住倉銀+桜花銀
朝日山銀+大和川銀
この物語の中心銀行は、旧大東(名古屋)と旧五輪(大阪)が合併した大東五輪銀行
最後に大東京銀+四菱銀と・・・。
フィクションとはいえです。