フランス革命前夜のパリで、雷に打たれる死亡事件が連続して起こり、ヴィドックが犯人探しを依頼される。その時代のパリの裏町を暗くかつ美しい映像で背景とし、その中に主人公である探偵のヴィドックと鏡の顔をもつ謎の容疑者との激しいアクションを組み込み、そこに謎解きの面白さを加味した設定と映像美はハリウッド映画には見られない如何にもフランス的な娯楽映画となっている。ヴィドックの伝記作家と称する若者が舞台回しとして犯人探しの筋書きが展開し、最後に犯人が明らかとなるまでは緊張感が途切れることなく継続する腕前は見事である。容疑者は鏡を仮面として用いており、殺人をその鏡の反射として撮影しているのは一層の不気味さを映画に与えている。フランス風ミステリーとして楽しめる!
戦場のアリア (2005年 / フランス/ドイツ/イギリス )
Joyeux No'l
監督:クリスチャン・カリオン Christian Carion
出演:ダイアン・クルーガー Diane Kruger
ギョーム・カネ Guillaume Canet
実話を基とした映画です。
第一次大戦下のクリスマスの日に実際の出来事を基にしている戦争映画。
フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍が対峙する最前線において、ひとりの歌声がきっかけとして一夜限りの休戦が実現する。
敵対する最前線で束の間の交流のさまを描く。
フランス北部デルソー。
わずか数十メートルを隔てた塹壕で、ドイツ軍とフランス・スコットランド連合軍が激しい戦闘を繰り広げていた。
クリスマスの日、最前線の塹壕にはたくさんのクリスマス・ツリーが飾られていた。
恋人と戦線離脱してしまうには、もっと心理描写が必要なのではないかと思うんですが・・・
恋人と戦線離脱なら、銃殺刑ですし名誉を捨てて恋人とともに投降してきたオペラ歌手を連合軍もどう受け入れたのでしょうか・・・
戦争でこころが疲労していたのだとは思いますが・・・
小宮山隆央
恋愛映画か何かと勘違いして見ている人が多いようだが、「老人と子供」「愛と宿命の泉」の異才クロード・ベリがそんな単純な映画を作るわけがない。映画会社は困ってこんなタイトル付けました、といったところだろう。
レストランのシェフをしている主人公の男は、母親が高齢で、ある日倒れて病院に入院したことから、万事につけいい加減なこの男に変化が起き始める。主人公は、主人公と対照的にまじめ人間の主人公の友人の男が一時的に相続しているアパートに同居している。この友人は吃音障がいを持っているが、ある日、このアパートの物置部屋のような一角に一人暮らしをしている栄養失調ぎみの女性(オドレイ・トトゥ)と知り合う。女性は芸術家肌だが、親との確執があって、清掃作業で生計を立てているものの、ついに病気になってしまう。主人公は母親のことが大好きなのに介護疲れで周囲とのムードが険しくなっていき……。さて最後はいったいどうなるか、と一瞬も飽きさせない展開で終幕を迎える。
この終幕は、みんなが幸せになって(高齢者の主人公の母親も幸せな最期を迎える)、フランス映画らしい芳醇な余韻を長く残す。
フランスは子育て支援などの福祉政策で世界最先端を走っていたが、高齢化問題(特に介護の問題)については洋の東西を問わず深刻なようだ。だがこの映画はその問題に一つの理想的な回答を示しているように思う。
介護問題を深刻にさせているのは、実は「ムード」なのだと思う。要は作者が言いたいのは「幸せ」は「心の持ちよう」だということなのだ。
そのメッセージを鮮明に裏打ちするのは、主人公の友人が吃音障がいを克服するエピソードだ。
登場人物たちは重層的に絡み合い、テーマはそのアンサンブルのなかからにじみ出てくるという手法を採っているので、見る方の人生経験や感性などにも大きく左右されるタイプの映画といえる。従って、評価が分かれるのは致し方があるまい(素晴らしいクラシック音楽を聴いても、クラシックは判らない、という人がいるように)。
映像がスゴイですね~頭ガンガンしました。アクションありサスペンスありミステリ-ありと楽しめちゃうエンタ-ティンメント大作。ピトフ監督に注目です。「ザ・ビ-チ」のギョ-ム・カネがカッコよかったです。
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