カストロよりも人気が高いと言われる、チェ・ゲバラ。歴史知識やグッズとしてしか知らなかった彼の若き日のロードムービー。人間関係が希薄になりがちなので苦手なジャンルでしたが、この作品は真面目で洞察力溢れ、感性豊かなゲバラ、友人でいい加減で女好きだが憎めない男アルベルト、この二人を演じた役者の魅力&計り知れない南米大陸の大自然・・この二点だけでも見る価値があった。 広大で美しく(美しく撮れ過ぎているのはR・レッドフォードだから?でもこれも映画的には良し。)抗い難い南米の大自然に圧倒されたと思ったら、旅先でほんの束の間の時を共にする人々との時に暖かく、時に辛く、時に哀しい現実・・静かな映像ですが息つく暇も無く画面に魅入ってしまう。 特にガエルの演技は「静かで抑揚に乏しい」という捉え方も出来るかと思いますが、「天国の口終わりの楽園」等の演技とは180度違った考え深く、感じやすい心を持った一人の青年を演じているのには驚かされた。演技派としての境地を開拓したと言っても言い過ぎでは無い。 また、味のある友人アルベルト、彼がシリアスでドキュメンタリー調になりがちなこの映画を上手に締めている。 ラスト、ハンセン病患者の療養所を離れる時感じたのは生ぬるい感動だけではなかった。今の南米大陸はどうなっているの?ゲバラはどうして短い生を駆け抜ける事となったのか?三回鑑賞した後、ゲバラの日記を読んだ。南米の過去と未来、今の私には遠すぎるテーマではありますが、この一本の映画が「知らないという事の悔しさ。知りたいという強い探究心」を駆り立ててくれた。 「南米大陸の未来に乾杯」そんな世界をいつか作りあげられるだろうか。 映画にはこんな力もある。 濃い人間ドラマを求める方にはお勧めは出来ませんが、娯楽に終わらず、その先に進む力を与えてくれる作品はそうは無いです。これが米国関与の作品である事も価値ある事かと。文句無く★5つ。
重い内容ですが、素直に読めました。難しい内容も分かりやすく丁寧に書かれていたので、ハンセン病を知るのには良い本だと思います。作者本人がハンセン病ですが、攻撃的な記述や怒りを抑えて思いを綴っている事が読書感想文の題材に選んだ理由です。
酒井美紀主演、熊井啓監督の『愛する』として映画化されている。銀座のロードショー初日の挨拶で熊井啓監督は「医者の視点ではなく、患者の視点で映画化した」と語っていた。医療問題が喧しく騒がれる中、「真の医療とは何か?」、「患者学とは何か?」を考えされれる映画であった。『ヒポクラテスの誓い』を持出す迄もなく医療従事者のみならず全ての病を患う患者さん方、介護者の皆様に観て貰いたい映画であった。原作者の遠藤周作はカトリック教徒でもあり、基督教に於ける『愛』が中心テーマになっている。私は映画を観てから原作を読んだが、遠藤周作の深い愛への情熱が胸に響いた。リヴァイヴァルDVD化が待望される。
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