失恋とノイローゼの二重苦の時に「いくじなし」を聞いてあっちの世界には戻れないのだと思った。エディと横関のバトルも壮絶。大傑作。
いいですよ。これは。
オーケンが40にしてここまでの叫びが聴けるのも感動ものだし、
バンドとしてのクオリティも確実にアップしている。
かつて筋少の要であったエディの演奏は、さらに洗練され、磨きがかかっています。
そして、全体的に新人バンドのごとくハイテンションなのに油がのっている感じがいいです。
ラスト「新人バンドのテーマ」は、かつて中学生で、今はパパの私にとって感激もひとしおです。
筋肉少女帯やENDSで、圧倒的な演奏を聴かせて下さる三柴理さんが、
Freddieの楽曲をピアノ一台で表現…
本当にドキドキしました。
やはり、凄い方の演奏は凄いですね。解釈も含む演奏力。
「Death On Two Legs」なんて、どのようになっているのかと思いましたが、歌詞がなく、音楽だけ聴くと格調高ささえ感じてしまいます。
最も嬉しかったのは、私がQUEENの楽曲の中で一番好きな「Nevermore」を取り上げて下さったことです。
「II」では、「The Fairy Feller's Master-Stroke」と「The March Of The Black Queen」という
凄まじくも素晴らしい楽曲の間に位置する1分そこそこの美しい曲で、
どうしてこんなに美しい曲がこんなにすぐ終ってしまうんだろう…といつも思っていました。
この曲をセレクトして下さったのが一番嬉しいのですが、
タイトル曲「Love Of My Life」繊細さ、優雅さ、切なさ… ヴォーカルのメロディー以外の部分にも、表現されています。
選曲も古典的ファンが喜びそうなものですし、ただ、譜面をなぞっている訳でもなく、
原曲を台無しにするような変なアレンジをされるわけでもない。
私たちが心の底で求める音を、奏でて下さった感じです。
では、何故、星は五個ではないのか。
フル・アルバムにして「Lily Of The Valley」も聴かせて頂きたかった。
あの曲も、この曲も…と言えば、キリがなくなるくらい優れた楽曲が多いのですが、
Freddieと言えば、クラシカルで繊細でロマンティックと思うファンも多いのでは。
Freddieはキャパシティーが大きい人なので、色々なことに挑戦して、結構板についてしまうのが、玉に瑕かも知れません。
このアルバムは、Freddie Musicの真髄が堪能できる作品集だと思います。
スプラッターの表現方法をとっているけど、この作品の本質は「愛」です。
本作品を構成する三つのストーリー(ステーシー、ゾンビ・リバー、再殺部隊隊長談)のうち、特に「隊長談」は数ページしかなく、そのほとんどがスプラッター表現なのにもかかわらず、せつなくも悲しい「愛」を感じ取ることができました。
ときどき、「その人」を「その人」たらしめる本体は何なのか、考えることがあります。
爪をきったときに、Aさんの爪はAさんでなく、その他の部分がAさん。
髪をきったときに、Aさんの髪はAさんでなく、その他の部分がAさん。
どこまでが、AさんをAさんとして形作るのか。
どこまで、AさんをAさんとして愛することができるのか。
そんなことを考えさせられました。
2009年から2011年までの「ぴあ」での連載をまとめたもの。
連載中に発表された音源や参加したロックフェスの裏話などファンとして楽しめる部分があるものの、収録されているエッセイ49本のうちの6本(『よしもとばなな先生はレーネンと共にM−1に出撃せよ!』、『リンカーン対チンギス・カンはガチだった?』、『空飛ぶ円盤水没せり!』、『フツーに本屋さんに麻原暗殺計画が置いてあった』、『UFOと交換されたビートルズのアルバムはなんだったんだろう?』、『オウム真理教と宇宙人(いいタイトルだなぁ)』)の内容のほとんどが読んだトンデモ本の紹介で占められており、人から本を勧められ、その当人から「ここが面白い!」と段落を指定されて読まされているような気分になりました。
それを除けば、著者の昔のエッセイや音源に普段から触れていて、著者のキャラクターを把握している人には楽しめる一冊になっていると思います。
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