このアルバムで国内でも名が広まったと思います(TVドラマがヒットしたので) 初期の作品がお好きな方には少し物足りないかもしれませんが、西村さんの違った一面を見ることができる1枚だと思います。
癒し系CDの中ではこれがいちばん好きです。 ゆったり優しい曲が多くて、日曜の朝などに聞くと 楽しい週末になりそうな気がします。
たいていの人はドラマ「101回目のプロポーズ」で西村由紀江を知っただろう。わたしもそのうちの一人だ。 しかし、ヤマハ音楽教室に小さいときから通い、講師にもなっている友だちと話したとき、西村由紀江と同い年で友だちだと言っていた。小さいときから才能が光った彼女のこのアルバムでは、全編音が「綺麗」と表現したい。悲しいはずのショパンの「別れの曲」までもとても美しい。
このオムニバスはなぜヒットしたのだろうか。
確かに、大ヒット曲を揃えたからということもあるだろう。
でもそれだけじゃないと思う。ここでは30歳ではなく35歳というところがポイントなのだ。
もちろんこのアルバムはさまざまな年齢層で受け入れられるだろうが、35歳で生じてくる、大人のどこか不安で微妙な心理状態を見事に突いてきていると思う。
そしてこの曲順がいい。特に4曲目「Get Along Together」から8曲目「クリスマスキャロルの頃には」へ至る流れ、そして14曲目の「壊れかけのRadio」からラストに「世界中の誰よりきっと」を持ってくるあたり。
この曲順を意識的に考えたのならさすがであり、この展開にこそ35歳であることの意義がある。
もちろんオススメの一枚。
あと、似たような企画ですが、2枚組、30曲の「クライマックス」もいいよ。
シリアスな路線ではなさそう。でも、コメディかというとそうでもない不思議なドラマでした。
しかし、描こうとした思想ははっきりしています。
「人は変われる。」
「愛されることに応えるという愛の形もある。」
これらの言葉に主張される生き方が最後に結実します。
前者は武田鉄矢扮する「星野達郎」のものであり、後者は浅野温子扮する「矢吹薫」のものでした。
少しでも「真壁」に近づくべくピアノを習い、また司法試験を目指して何とか変わろうとする「星野」。
長谷川初範扮する「藤井」に投げかけた「50年後の私をどう思う?」に対する返答から、愛の形を問い直す「薫」。
周囲を固める配役に関しても江口洋介と田中律子の絡みが心地よく、竹内力の去り際も潔く、武田鉄矢が主人公ということもあってコメディのように気楽に観ることの出来る作品ではありますが、あのラストで、「真壁」の思い出のウェディングドレスを着て走るシーンには熱くこみ上げるものがありました。
脚本や演出、出演者の演技に絶妙のバランス、匙かげんをもった作品といえるでしょう。
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