ほのめかされるヒントに、多恵と一緒にどきどきする。素人探偵まがいの行動をとってしまって窮地に陥るところなんか、サスペンスドラマのようにわかりやすい面白さだ。キイハンターっていう古いテレビドラマを思い出しちゃった(古すぎてスンマソン)。
最終的な種明かしは、ちょっと現実離れしているが、そこまでの心理劇が最大の魅力。最終章で、ちょっとほんわかと人間の温かみを描いたあたり、読後感もいい。
2010年9月に死去された永井するみさんの最後の作品
今回は「トロフィー」「道化師」「サムシング・ブルー」「夫婦」の4篇が収録されている短編集です。
永井さんの描く独特の世界観があるミステリーが好きで、全作品読んでいますが、 この作品も今までになかった様な切り口で面白く読めました。
4篇共、日記をベースにした語り口調で描かれていて、それぞれの作品がリンクしています。 そして日記に描かれている事が事実だと信じて読み進めれば、ある意味、小気味よく裏切られ、 途中から何が真実で何が虚偽なのか推理小説的な部分もあり楽しみます。
永井さんの新刊が出れば必ず読んでいたので、これが最後の作品だと思うと本当に残念です。 今まで楽しませて頂いてありがとうございました。 永井さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
色々な人間模様が読めてよかったです。女は、嫉妬深かったり、人生のあせりがありで複雑ですね。勝手な思い込みからの自意識過剰など、ありがちだなと思いました。特にマリーゴールドがよかったです。
永井するみ「欲しい」を読了。ミステリーですね。良い作品です。女性視点のミステリーで読ませます。でも完璧すぎるきらいがあります。もう少し懐の余裕が欲しいところです。きちきちに理詰めで構成されていると逆につまらなくなってしまいます。そして奥行きがなくなり、完璧なだけに薄い印象を与えてしまします。でもこれはほめ言葉であって、さらなる期待を込めた感想です。作品自体は面白く、一気読みでした。完成度が高いからこそ、「もっともっと」って思ってしまう、勝手な読者の感想です。
ピュアフルアンソロジーシリーズを装画担当の早川司寿乃さん目当てで買っています。
早川さんは主に書籍やCDの装丁をされることの多いイラストレーターですが、いくつかのオリジナル創作もあります。
今から20年以上も前に早川さんのイラストを初めて見たとき、あまりの心地よさにとりこになってしまいました。
懐かしい風景を、非現実的な構図に組みなおし、シンプルな線とやさしい彩色で夢の中の風景のように再構築される独特のもので、一時期結構人気を博されていました。
このように過去形にしてしまうのは失礼なのですが、最近では装画以外ではなかなかお目にかかれなくなっていて、さびしい思いをしております。
かつてはコミックファンタジー誌で独特の詩情あふれる創作もされていて、林静一の再来かとばかりに期待していたのですが・・・
本アンソロジーシリーズでも、大変個性的で美しい表紙をいくつも担当されています。
そして、この本ではいよいよ創作も掲載されました。
実のところ、かつてコミックファンタジーに掲載されたものの加筆版なので少し残念ではあるのですが、編者の目の付け所に拍手を送りたいと思います。
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