このシングルの3曲目に収録されている「17」という曲こそが、 彼女の描く世界を最も端的に表している気がします。 高校受験レベルの英語の歌詞が微塵も安っぽく感じる事もなく、曲と 相まって痛々しい程に孤独の苛立ち、やりきれなさを表現してます。 無罪モラトリアムあたりまでは、奇抜で一見サブカル的にも映る世界観 も、根底には素朴な思いが流れる純粋な自己表現として成立していた ように思います。それが看護婦さんの格好でガラス蹴り壊したりし始めた あたりから他者の作る「椎名林檎」像に食われ始めた気がします。 そして現在は・・・ノーコメント。素晴らしい才能の持ち主だけに勿体無い。 もう一度この曲や幸福論のような等身大の曲を出してほしいです。
連作短編風で、旅に出る事で起こる変化をテーマにしているようです。 旅行中ならではの、ふわふわした落ち着かない気分で、いつもと違う行動をとってしまうような…そんなのをうまく描いてると思います。 金原ひとみさんのファンなので、母になった事による変化、という意味でも楽しめました。 今までの作品との違って、あまりキツい描写はなく、アングラっぽいのやエログロっぽいのがダメな人でも楽しめるかな。 今までは、あまり人に勧める事もなくひっそりと読んでいましたが…(笑 これを機会にいろんな人に読んでもらえるといいなあと思います。
男性の喫煙率が低下して、女性の喫煙率が向上していると言われ 長い年月がたちますが、そのような背景の中で生まれた女流文学でしょうか。 青鞜で叩かれた女性たちが再起しています。
題材は西原理恵子のように著者の身近から拾い、 6編の短編に仕上げています。 しっかりオチもあります。
女性の側からあからさまに性描写を突きつけられると嫌悪するのは タイトルの意味がさっぱり分からない年代の教育成果でしょうか。 (本来は結婚という意味)
逆差別がなくなり、女流文学から女流が取れて文学にするために 奮闘している一人の作家の作品でしょうか。
著者の作品は「マザーズ」以来2作目の購読ですが、 主人公が男の設定なのに女と区別がつかなくなる作品もありますが 進歩していると思います。
用紙を厚くして嵩を稼がず、 キンドルで低い単価で購読できるとうれしい作品です。
共感できた登場人物は1人もいなかった。感動する場面など無かった。特に面白いストーリーでもなかった。身体改造などに興味があるわけではないので、本書に書かれていることがどれだけ正しいのかは分からない。 しかし、そんなことはどうでもいいことだ。本書の魅力は文体にあると思う。本書には何箇所か過激な描写があるが、なまなましさはない。突き放したような感じで書かれている。何事にもさほど夢中になれず、自分に関することなのに興味を持てず、自分のことなのに何が起こっているかうまく分からない。そういった感覚をともなった本書の描写は、ある意味、とてつもなくリアルでさえある。
過去の名作を独自にアレンジし、新たな作品として作り直す創作活動は、音楽や絵画の世界ではよく行われている。そうしたカヴァー作品は、オリジナルを踏襲しつつも斬新な改変を試みることによって原作の魅力をより豊かなものにしていく。
その意味では本書は、源氏物語に材をとった当代のカヴァー集といえる内容で、『源氏物語 九つの変奏』というタイトルはぴったりだと思います。
現代の九人の作家たちが、大先輩にあたる紫式部の「源氏物語」の各章を訳していくのですが、原作との「距離感」は作家によってまちまちで、内容を忠実に追った現代語訳もあれば、設定に手を加えた翻案作品もあり、中には、金原ひとみさんの「葵」のように、登場人物のほかは大胆に改作したものもある。アプローチの仕方は違えど、作家たちはおのおののスタイルを打ち出しながら、人物たちの心の機微を描き出していく。
いずれの作品にも原作への敬意が感じられるし、それぞれちがった趣が楽しめ、アンソロジーならではの読みごたえがあります。また、各作品の冒頭に〈原典のあらすじ〉が短く載っているので、「源氏物語」を読んだことがない人(私もその一人)も、作品の中に入っていきやすくなっています。
オビには〈人気作家九人が織り成すまったく新しい「源氏物語」〉とありましたが、本書をきっかけに原作へいざなわれていく人もいるでしょうし、原作を知ったうえで本書を読む楽しさもあると思います
「帚木」松浦理英子/「夕顔」江國香織/「若紫」角田光代/「末摘花」町田康/「葵」金原ひとみ/「須磨」島田雅彦/「蛍」日和聡子/「柏木」桐野夏生/「浮舟」小池昌代
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