ウィーン・フィルに非常に近い立場に居た人から聞いた話に依ると、生前のバーンスタインとウィーン・フィルは、本当に相性が良かった様である。その両者の相性の良さと結びつきの深さを感じさせられる名演である。特に、第三楽章の美しさは絶品である。流石はウィーン・フィルだと感じさせられるアダージョである。第四楽章の流れには、やや単調な部分も有り、不満も有るが、とにかく、この第三楽章を聴いて欲しいと思ふ。この第三楽章のアダージョを、東日本大震災の犠牲者達の霊に捧げられたら、と思ふ。
(西岡昌紀・内科医/平成二十三年の大晦日に)
このディスクの発売は古いが非常に重厚で味わいのある全集になっている。録音も当時は優秀録音にあげられていたと思う。ベルリンシュターツカペレの弦楽器の深い響きが印象的だ。スイトナーの指揮もドイツらしいどっしりとした演奏だ。特に私は第9がお気に入りで、今も 第9のベストワンだ。値段も非常に手頃で、ベートーベンファンなら決して持っていて損はない全集だ。
カラヤン指揮ベルリンフィルによる、ベートーヴェンの第九です。収録は1983年9月21日から28日となっているので、コンサートのライブ録音というよりは、ビデオ撮影のための演奏と考えたほうが良さそうです。
演奏はカラヤンの他のDVDと同様、完成度の高いもので、オーケストラのみならずカメラまでカラヤンの指揮で動いているようにみえます。
このDVDに収録されたボーナスのコンテンツの中で、録画されたベートヴェンの第五を観た人が、初めてその曲を「聴いた」と電話してきたエピソードを紹介し、カラヤンは音楽鑑賞における映像の威力を説いています。このビデオの映像がある意味「作り過ぎ」と見えるのも、音楽だけでなく映像でも何かを表現しようとするカラヤンの意気込みが反映しているものと思われます。
日本版のレビューで指摘されているように、この折り目正しい演奏が一見冷たく見えるのも事実ですが、それは第3楽章までのこと。第4楽章になるとカラヤンまでが合唱とともに口ずさんでいます。
一説によると、カラヤンは第九を収録するためにCDの収録時間を70分にするようにフィリップスに提言したそうです。そこまでカラヤンがこだわった第九です。ぜひお勧めです。
なお、このDVDは輸入版ですがRegion ALLですので日本のDVDプレーヤーで再生できます。
|