「私立霧舎学園ミステリ白書」シリーズの第一作。
袋とじで発売という懐かしい本。バリンジャーを意識しているのか?
本格ミステリとラブコメをミックスするという暴挙に出た一冊。本格ミステリ部分はまあまあ良く出来ている。子どもだましでないトリックで、著者の誠実さが感じられた。
しかし、ラブコメ部分はいまいち。なんだか、つくりものめいていて楽しめなかった。お約束を守ろうとして堅くなり過ぎているというか。
人気(?)なのか、何冊も書き継がれているシリーズだが、次作に手を出すのは躊躇する。
新本格作品をネタにした連作短編集です。各編の題名は以下の通り:
「人狼病の恐怖」
「すべてがXになる」
「覆面作家は二人もいらない」
「万力密室!」
「殺人史劇の13人」
「夏と冬の迷走曲(どなた)」
「<おかずの扉>研究会」
はっきり書きます。これらの元ネタの題名と主要登場人物の名前がすらすら出てこない方には向きません。
一編一編が起承転結のある短編推理小説であると同時に、共通の登場人物が存在し全体として一つの物語を作ります。なのでパスティーシュというわけでもなく、新本格作品を「ネタにした」「もどき作品」というしかありません。ネタを知っていればにやにやし通しです。「殺人史劇…」では、可読性を捨ててまでネタ作品の構成をなぞり、「夏と冬の…」ではアレをネタにしていると思いきや同じ作家の別のアレをなぞりだし、といった恐ろしいまでの凝り方。
そんなにまでしていながら一応は破綻無くまとまっており、良く連載でこんなの書けるものよと思いますし、よくもまあこれほどマニアックなものを出版するよ流石カッパは偉いなあと思いますけど、どう見てもマニアしか喜ばないでしょうから星三つにしておきます。
シリーズを通して購読しています。
各巻の内容・トリック云々よりも、シリーズがどこに着地するのかが楽しみです。
2004年に出た講談社ノベルズ版の文庫化。 著者の高校時代〜書き下ろしの6篇が収められている。<あかずの扉>研究会と霧舎学園の登場人物が交錯し、楽屋落ち的な要素も濃いので、著者のこれまでの作品に目を通してから本書に取りかかった方が良いだろう。 面白かったのは「まだらの紐、再び」。高校時代に初稿を手掛け、何度も書き改めたものという。それだけに、プロットもトリックもしっかりしている。 文章や登場人物に魅力がなく、トリックの優れているわりに意外性がないのは、著者のいつもの作品と同じ。
奇をてらった仕掛けはありません.
超人が登場するということもありません.
驚くような大きなどんでん返しもありません.
事件のヒントはすべて目の前のページの中にあります.
ツッコミどころがないかと言われればアレですが,
それでも上に書いたように変なトリックなどもなく概ねスッキリ.
あえて空欄になっている登場人物一覧のページも,
読み終えたあとならなるほどと思わせられるはずです.
少し入るロマンスもアクセントになっていますし,
物語の鍵にもなっていてなかなかよいと思います.
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