サイダーハウス・ルール DTS特別版 [DVD]
映画化もされている、「ガープの世界」、「ホテル・ニューハンプシャー」の著者、ジョン・アービングが自ら脚本を手がけているだけあって、ガープや、ニューハンプシャーで感じた、原作からの違和感が殆どない。アカデミー脚本賞受賞もうなずける出来映え。原作は時として冗長(それでも素晴らしいが)な部分もあるが、映画としてまとめられて、逆にすっきりしている。中絶を密かに手がける孤児院で育ち、中絶の手伝いをするうちに、それを習い覚えてしまった主人公、ホーマーをトビー・マグアイアが好演している。
中絶の是非というシリアスなテーマを軸としながら、主人公、ホーマーが成長していくビルドゥングスロマン。見終わってから、ほのぼのとした暖かさが伝わってくる。まさに、ジョン・アービング・ワールドの真骨頂!こんな素敵な映画を作ってくれたスタッフに感謝したい。
New Amerykah Part Two: Return of the Ankh
"New Amerykah Part One: 4th World War"の続編となるErykah Baduの新作"New Amerykah Part Two: Return of the Ankh"。
前作は政治的・社会的な問題、つまり自分の「外部」へ意識を向け、アグレッシブに攻めていく作品であったが、今作はその間逆で自分の「内面」を意識した、とても閉鎖的なのだけれど、穏やかで静かな世界を描いている。
この作品は、Part Oneからの続編というよりも、前作と合わせてErykah Baduというアーティストの持つ、二面性をとことん追求した作品のように思う。
実際の内容に関して言えば、全体的にJazzやクラシックなソウルの色合いが強く、緩やかでどこか気だるい楽曲が多い。
また、サウンド面においては、デジタル音やサンプリング、そして生音を組み合わせながらもとてもシンプルな展開が多い。
ポップとまでは言わないけれど、メロディも割りと聴きやすく、前作よりもずっととっつきやすい感じもする。
衝撃的なPVで話題になった"Window Seat"は何故か癖になる楽曲。
まるで"Baduizm"の頃の彼女を思い起こさせるような、気だるくふわふわとした雰囲気を持つ楽曲で、それが妙に心地良かったりする。
その他にも、短いけれどインパクトの強い"Agitation"や、可愛らしいキャッチーな"Turn Me Away (Get MuNNY)"。
そして、僕が個人的に好きなのが、Sly & The Family Stoneを思わせるかのような、ダウナーなファンクナンバー"Love"。
どの曲も個性的かつ魅力に溢れ、聴けば聴くほど彼女の世界観に知らぬ間に惹き込まれてしまう。
僕自身、この"New Amerykah"という2枚のコンセプトアルバムは、新しいErykah Baduの世界観を描いた、R&Bやネオソウルといったジャンルの枠を超える名盤だと思っている。
改めて、Erykah Baduというアーティストの存在感の大きさや、彼女の音楽が持つ強いエネルギーというものを肌で感じた作品だった。
Mama's Gun
2000年、Erykah Baduの2ndアルバムです。
1st「Baduizm」(1997)では、R&Bベースに、Jazz, Hip-Hopの要素を取り入れた魅力的な楽曲で、
Deepで濃厚、ソウルフルでスピリチュアルな歌唱を、たっぷりと聴かせてくれました。
ただ、楽曲のカラーが単一色のような印象もあります。(その分、浸れるというGood!な面も)
今回2ndでは、1stで魅せたNew Classic Soulをベースにしつつ、
曲ごとに、もうちょっと多彩な音楽的フレーバーを付け加えたような感じです。
ソウル色が強くて濃厚な(1)、ピアノ & ストリングスをバックに歌う(3)、1st収録曲"On & On"の続編(4)、
Jazz Vo風な(5)(10)(14)、アフリカ民俗音楽っぽいオーガニックな(8)、アコギをバックにナチュラルな雰囲気の(9)、
Stephen Marley (Bob Marleyの息子)とデュエットした素朴な雰囲気のラヴソング(11)
。。。などなど、聴きどころ満載です。
各楽曲のカラーが多様になっていますが、Erykahの歌唱がすべて包み込んだかのように、統一感があるアルバムです。
聴いていると、「とろとろ、まったり〜♪」な感じになるのですが、
「ス、スゴイ。。。」と目を覚ますような、素晴らしい声・歌唱が、随所に出てくるのも、大きな魅力です。
日本では、1stで徐々に人気をあげ、この2ndで一気に人気をあげたと思います。
「Erykah Baduファン」には、マストCD。
もちろん、「New Classic Soulファン」に、オススメです。
(参考)
日本盤は、ボーナストラック「Bag Lady (Cheeba Sac Mix)」収録。
ブロック・パーティー [DVD]
ひとことで言えば、パワフルでビューティフル♪
カニエ・ウエストやモフ・デフなどの人気ラッパーに、エリカ・バドゥ、ジル・スコットの女性人気シンガーのセッションは圧巻だ。
ラストのゲストにローリン・ヒルを迎え、ヒートアップ。レコード会社が彼女の楽曲を歌わせないアクシデントの中、再結成されたフージーズによる競演など、奇跡的な出来事がちりばめられ、この作品に輝きを持たせている。
ウッドストックなど愛とか平和をテーマにしたミュージックフェスが数多く存在する中で、この作品はまったく異なる存在だろう。その重さがまったく違うのだ。
いまだ、アメリカにある差別の問題をこのわずか100分の作品でいともかんたんに語ってしまうほどこの作品には社会映画としての説得力がある。
Baduizm
Neo Soulの先駆者的存在である
Erykahのデビュー作。
Neo Soulに分類される様な
作品をこれまでに
いくつか聴いてみたが、
この作品ほどSoulに
HIPーHOP、Jazzの要素が
バランスよくブレンドされている
作品は聴いた事がありません。
LaurynやAliciaは
どちらかと言えばHIPーHOP寄り。
JillやN'dambi、Ledisiなどは
どちらかと言えばJazz寄り。
このバランス感が
とても心地よいです。