野獣死すべし デジタル・リマスター版 [DVD]
松田優作が到達した頂点だと思います。
松田優作は「ブラックレイン」で世界にデビューを果たしましたが、
「野獣死すべし」の方がずっと素晴らしいと思います。
「野獣死すべし」の、あの寂寥感、あの雰囲気を、
松田優作は、その後の作品において、
ついに超えることはできなかったように思います。
ただ、原作者の大薮春彦氏は、
原作を大幅に変えられてしまったことが
非常に気に入らなかったようです。
ラジオに出演した際のインタビューで、
「試写の途中で出てしまった。あんなひどい映画にしてしまって..」
と語っていました。
原作と映画は別物と、割り切って見ることができる方にはお奨めします。
また、最近のアメリカ映画のような、
全てが映画の中で説明されているような映画がお好みの方は
ご覧にならない方がいいかもしれません。
野獣死すべし (角川文庫 緑 362-24)
本作品は大藪春彦のデビュー作だが、すでに総てのモチーフはできあがっている。それはストイックとも言える孤高の悪のヒーローであり、自動車の操縦(運転と言うよりは操縦が似つかわしい)や銃器の取り扱いに関する精緻な描写だ。
ストーリーとしては企業ものの要素を加えた犯罪小説なのだが、主人公の日常的な鬱屈感と、その裏返しとも言える行動力とカーチェイスや銃撃のアクションシーンは読者にカタルシスを感じさせてくれると思う。
四半世紀前、松田優作の主演で映画化された頃にブームになったが、今も古びることは無い作品だ(仲代達也や木村一八主演版の映画もある)。
鬱屈した日常を送っていると、自分の心の中のどこかに伊達邦彦が潜んでいる気がする時があります。偏見を持たずに読んでみることをお薦めします。
野獣死すべし [VHS]
その昔、へーわぼけ日本人にして見ると
ヴァイオレンス爆発!な感じだった映画です。
『ドラえもん』がブームになった直後くらい。
ファミコン発売はもうちょっと後。
・・
「銀行襲撃」くらいしか無かったのか
ってゆーと、この時期既に「売りの達人」は
大勢居たし、純粋「裁量」の相場師も多かった。
・・
カガタケシが余りにも人間的過ぎるキャラに
見えマース。つか、松田優作の方がフツーぽい。
こゆ喋り方の若い衆って今多いんじゃ・・・・。
フツーとしか言い様の無い時代に為ってしまいましたー
とゆー感じしかしねーし、郷愁めいたものを感ずる事も
無し。
ヴァイオレンス・・ッ!セックス・・ッ!アンド・マネー・・ッ!
「あ!」とかゆってみても「のだめ」みたく
為るわけじゃなしー。何か楽器演奏でもしてくれると
シャーロック・ホームズ風になるかもー。
あーそれ以外だと、メゾネット風の
地下室でハープシコードでJBSガンガン弾き捲くりで
「神よっ!もう沢山ですっ!神よっ!」とか
ジュール・ヴェルヌのネモ艇長みたくするとかー。
でも、そーゆテンション張り詰め系でもないしー。
・・
フツーですねー。他に何も無いしー。
ジュピターに着く前にネアンデルタールにも
為りそうも無いしー。
・・
この後、ゲーム脳時代に為ってゆくので
「のーないせかい」でわ、もっと
ヴァイオレンス爆発しマース。
野獣死すべし (ハヤカワ・ミステリ文庫 17-1)
お、ハードボイルドのヤツね、と思われた方、残念ながら違います。それは大藪春彦です。
題名と表紙の雰囲気から、ハードボイルドと勘違いしてもおかしくないけどね、内容もハードボイルドになるし。
こちらは、ニコラス・ブレイク、本名はイギリスの桂冠詩人セシル・デイ・ルイス。
探偵小説家フィリクス・レインは息子を轢き逃げされ失ってしまった。
警察の必死の捜査にも関わらず半年も過ぎ、自分で復讐することを誓う。
最初はこのフィリクス・レインの日記から始まり、なんか倒叙ものみたいだなと読んでいってしまいました。
が、当然ながら倒叙ものではありません。途中、これってエラリー・クイーンのあの作品みたいになるの!? などと思い、年表を調べてしまいました。クイーンのアノ作品は1933年、で、この作品は1938年。
あ〜、ひょっとしたら、と思ったら、さすが名作、見事に私の考えを(いい意味で)裏切ってくれました。