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中川五郎主婦のブルース

詩人と女たち (河出文庫)

この小説に出てくるチナスキー以外の男、それが現代の男そのままだ。そして女性に関して言えば登場するあらゆる女性、強い女性、こんな素敵な女性は数少ない。そう感じた。「詩人と女たち」を読んでいるときは自分をブコウスキーと同化させた。しかし自分こそ実際は現代の男ではないかとその葛藤に苦しんだ。ブコウスキーのような勇敢な男、そして勇敢な男に興味をそそられる女性立ち向かう女性は果たして存在するのだろうか?わたしはそんな人を見てみたい。

六文銭/中川五郎

　配布制をとってスタートしたURCのアルバムで、後に一般販売されたアルバム。この前が亡くなった高田渡さんと五つの赤い風船で、これは第2回配布。日本のフォーク･ムーブメントを起したURCの、まさにスタート期の作品。次の第3回配布まではLPのAB面を分けて仕上げる形だった。そのために、ここでは六文銭と中川五郎のカップリング。六文銭が5曲、中川五郎が8曲。
　六文銭は、その後も六文銭のレパートリーであり、解散時に作ったアルバム『六文銭メモリアル』にも収録されている「それから」で始まる。聞き比べるのも楽しい。「あげます」は後に小林啓子が録音していると記憶している。
　中川五郎は、「主婦のブルース」や｢恋人よベッドのそばにおいで」が有名だが、当時の時代を感じ取ることのできる｢腰まで泥まみれ」が魅力。音楽を評価する今の時代の物差しとは違うものを皆んなが大切にしようとしていたあの頃の空気を思い出す。
　人は、ときどき、それぞれのスタートに戻ってみたくなる。このアルバムは、まさにそんな感じだ。

くそったれ!少年時代 (河出文庫)

ブコウスキーの小説は，何も書かれていないという感じがする。
構成力とか，気の利いた台詞なんていう小説らしさからは無縁であるせいだ。
といって毒を撒き散らそうともしていない。
だからブコウスキーを手にとって面白いと思えるか否かは，感覚が合うか合わないかに尽きてしまう。
そこらへんが一方のポール・オースター，他方のバロウズのようには読者を獲得できなかった理由だろう。
だが，そこにも中指をつきつけ，あるいはただ理解することができない読者は，ブコウスキーに向かうのだろう。
バロウズが，誰も手を差し伸べない難民のような作品を書いているようでいて，その実，読むことがステータスのような特異な位置を占めていることに，窮屈さを感じる読者は，ブコウスキーを読めるだろう。
オースターじゃ気取りすぎる・・・あなたもブコウスキーに向いている。

『くそったれ！少年時代』は，自伝的小説だが，何も得るものはない。
政治的に発言するのでもなく，退廃的に個人的な美学を追及するのでもない。
この作品の酒は，自分を破滅させる文学のにおいがぷんぷんする飲み物ではなく，ブコウスキーが，酒を飲みたきゃ飲むし，飲まなきゃ生きていけないという程度の飲み物でしかない。
だがまさに，私のそばにある酒なんていうのは，そんな飲み物だ。
書物を読みながら，女性と向かい合いながら，飲む物ではない。
何も得るものがない作品が人をひきつけるのは，読者が，小説を読むに際し哲学や推理や登場人物といった小説らしさを，なんぼのものだと思うからだ。
それが分かった時，ブコウスキーは最高の作家になる。

ただし，構成力がないせいで，長い小説はやや退屈だ。
本作もその気配がほのみえる。

六文銭 BOX

なんとなく小室等は　という人のために説明すると、六文銭は小室等のプロジェクトという風な物で、その後の小室等のアルバムとは違います。すがすがしくありながら　当時のフォークからぬけでた音作り、メンバーの個性を十分発揮している　キングサーモンのいる島。残りの２枚は寄せ集めたものだが、従来のフォークからモダンなフォークへ、　主張する音楽へ変貌中の非常にすがすがしい音楽が聴けます。残念なのはアナログ当時、歌詞に制約をかけられた　街と飛行船がそのままだった事。ボーナストラックが３曲しかなかった事。　日本のフォークソングってこんなに格好よかったんです、聴いてください。　　　

また恋をしてしまったぼく

「僕が死んでこの世を去る日」から遡って辿り付きました。あまりに最高な全8曲。一曲目の出だしの音から痺れまくりです。ぼくはこの時代のことなどあまりよくわからないけれど、今聴いてもとにかくｾﾞﾝｾﾞﾝ古びていない。それどころか新鮮。「かぎりなく」は、くるりの「男の子と女の子」みたいだし！「30歳の子供」のバッキングのグルーブ感は時が止まったみたいな官能☆