本書は歴史小説の巨匠、津本陽氏の作品だが、小説というよりもドキュメントといった方が正しい作品である。そして今まで様々な者に書かれてきた“田中角栄”という人物についてのまとめ的な要素が強い。文章中に参考文献からの引用文が多数出てくるが、すっきりとまとまっているのはやはり筆者の筆力、構成力のたまものであろう。故に“田中角栄”に対し、新しい定義をしめしたということではなく、あくまでも読みやすくまとめたものと言えよう。しかし、そこは津本氏の作品である。筆者の“田中角栄”に対する思い、そして現在までの他の政治家との比較は、最後は寂しい末路を迎えた天才政治家に対し、かなり愛情のこもったものとなっている。ぜひ、“田中角栄”をリアルタイムで感じた世代もそうでない世代も読んでもらいたい一冊だ。
タイトルよりも、帯の方が本書の趣旨をよく表している。
帯は、厚生労働省は真実を教えてくれない!
厚生労働省、福田康夫政権時の社会保障国民会議(事務局は厚生労働省)の試算や説明のデタラメぶりを、Q&A方式で説明している。
例えば、Q.年金が2.3倍貰えるって本当ですか?という質問には、まず一刀両断。
A.うそです。
そして、このあと丁寧な解説が続く。実証分析を数多く手がける著者ならではの説得力だ。厚生労働省は真実を教えてくれない、だからこそ、著者をはじめ研究者がそれに立ち向かっているのに、厚労省の「2.3倍以上もらえます」といううその受け売りを続けているカリスマ受験講師は(最新の経済と政治のニュースが世界一わかる本!、「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ (扶桑社新書))、この本を読んで顔を洗って出直すべきだろう。数学を教えているなら、自分で計算してみたらどうか。年金の議論の何が問題か、いい加減気づいてもいいように思う。
さて、本書に注文があるとすれば、入門書レベルの本書で、論争的である積立方式への移行を強く主張することにやや疑問があること。もう一つ、著者の正義感の裏返しであろうが、レトリックがやや過剰なのが時々ひっかかることである(怒りはよく分るが)。それでは、本書が批判の対象としている「社会保障の専門家」たちと一緒になってしまう。
こうした本の必要性がなくならない限り、真の年金改革の議論はスタートしないだろう。厚生労働官僚も政治家も、本書のメッセージを重く受け止めるべきだ。
2つの家庭をもった田中角栄氏の家庭の内情が 非常によくわかる。 マキコさんがなんとなく可愛そうな面もあるが、著者の この記述は私もしらぬところばかりで かなり驚きです。 2つの家庭とはこういうものなんですかね??
昔の日本を良くするためにいろいろ頑張った政治家さんたちの
表に出せない話しを垣間見ることが出来ました。
私個人のなぞだったラスベガス事件の事が書いてあったので
今までの謎が解けました。
昔の政治家さんの事に興味が無い方は・・・
この本の価値が薄いかも知れません。
ただし、日本が間違いなく戦後から頑張って一つになっていたからこそ
今の日本があると思います。
我々はこの本を見てどう行動すればよいのか?
一つのヒントになればと思います。
田中角栄が善人であったか、あるいは悪人であったか、などを議論することには意味がありません。角栄の評価は、評価する人間の立ち位置によって様々に変わって当たり前だからです。
本書は田中角栄という人物の生涯を描きながら、戦後日本の政治について語った良書です。主人公はあくまでも日本の(保守)政治のありさまです。
今日の日本がどのように作られてきたかを理解する上での必読書であると言っていいでしょう。
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