ブルース・シンガーとしてのロバート・ジョンソンの強い自我は、もちろん、このアイテムからも伝わってきます。しかし、以下の二点でコレクターズ・アイテムだと思いました。 まず、コンプリート・レコーディングスということで、同じ曲のテイクが複数収められているので、聴きづらいのです。ですから、このアイテムは、すでにファンであり、ジョンソンのすべてを知りたいかた向けです。そしてコンプリートということに関しても、後に「トラヴェリング・リヴァーサイド・ブルース」の未発表テイクが発見され、『キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ』のCD化の際に追加収録されたので、コンプリートでなくなっています。 次に、帯、ケースは替わったものの、内容はこの2004年版でも1990年初発版と替わっていません。つまり、ずっとニュー・デジタル・リマスターがされないままなのです。それに対して、『キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ VOL.1』は1998年に、『キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ VOL.2』は2004年に、デジタル・リマスター済み。ヴォーカルとギターのみの弾き語りとはいえ、やはり、デジタル・リマスターされているほうが音が太く厚く聞こえます。 以上の二点のため、このアイテムはコレクターズ・アイテムであり、初心者は『キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ』シリーズをまず手にするべきだ、とぼくは考えます。
やはり特筆すべきは曲順であろう。前回のコンプリート・レコーディングスでは、別テイクが本テイクと隣り合わせになってしまっていたために、初めてロバート・ジョンソンを聴く人達には、「同じような曲ばかり」という印象を受けざるをえなかったのである。そしてその結果DISC2まで手が伸びない、という事があったのではなかろうか? まず、今回のコンプリート・レコーディングスではそんな事態にはならない、ということを約束しよう。全ての曲が全く違う、と言っても過言ではない。彼の作品に耳を澄ましたとき、聞こえてくるのは叫ぶような歌声と徐々にフレーズを変えていくギターフレーズである。つまり、彼こそがブルーズを更に一つ押し上げた男、なのである。
最後に、ブルーズが初めてという人にはロバート・ジョンソンはオススメしない。誇張ではなく、彼の良さの1割も理解できないからだ。よって、ブルーズを好きになりたい、という人はまずチャーリー・パットンやサン・ハウス、ブラインド・レモン・ジェファーソンら(他にもブッカ・ホワイトやブラインド・ウィリー・マクテルなど様々な表現者)から聴き始めるべきである。この工程を踏むことによって、ようやくロバート・ジョンソンの作品というのは無限の輝きを放ち出すのだから。
おすすめです。
旧『コンプリート・レコーディングス』を持っている方、迷うことはありません。
買い替えましょう。
二枚のCDは、”サンアントニオ・セッション”と”ダラス・セッション”にわかりやすく分けられました。
別テイクは各ディスクの後半にまとめられ、資料性を損なうことなく、作品としてすっきり聴けます。
同じ曲が続く旧『コンプリート〜』の曲順は、初心者がロバジョンにつまずく要因の一つだったので、これは歓迎です。
音質の好みはあると思いますが、今回のリマスターは情報量が多い。
以前よりダイナミクスが増し、トーンの違いが聴き取れる演奏は、格段に表情豊かです。
弦のアタック、スライドの消え際や細かい唄い回しがはっきり聴こえ、部屋鳴りもしっかり確認できます。
”伝説の〜”ではなく、実際に生きて唄って死んだ一人の男としてのロバジョンの”肉体”が、ぐっと身近に感じられました。
あなたが30年代のテキサスに飛ぶもよし、彼を我が家に招くのもよし。
今まで何回も聴いてきた人にこそ、たくさんの発見がある音源です。
こういった本は買って数ページ読んで 面白くないので数年放置・・・後日また思い出したようにちょっと読んで放置・・・というのが 私にとっての通例でしたが この本は購入後、3日で完読しました 今まで読んだRLに関するデマ?についても納得できたし 実際私は初版特典CD目当てで、それだけでも十分に満足できましたが 本もかなり面白く読むことができました
RLに興味がある人なら買って損なしだと思います
本書でも触れられていますが、ロバート・ジョンソンの評伝についてはピーター・ギュラルニックの「ロバート・ジョンソン 伝説的ブルーズマンの生涯」と「コンプリート・レコーディングス」に付されたスティーヴ・ラヴィァによるライナーとであらかた知ることができるように思っていたので、本書については最初すこし懐疑的でした。しかし、本書は重心が評伝そのものよりも、取り巻く状況の移り変わりに置かれてあるので、たいへん面白く読むことができました。評伝部分についても簡潔に記されており、意外とライナーに載っているようなことをくどくど書くものが多くてうんざりさせられるので、必要最低限という感じでとても好感が持てました。ところで、ロバート・ジョンソン三枚目の写真も見たいところですが、ジョニー・シャインズと思しき男と写っている写真が最近発見されて「ヴァニティフェア」のサイトで見られますが、あれはどうなんでしょう。僕は個人的には別人のように思います。
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