いや〜〜、懐かしいお顔が揃ってたまらんわ。
それにしてもホンの構成の上手さとカメラワークが凄い
白黒だということを忘れさせるほどのリアリティがあって
さすがのものを感じましたね。
そういえば、これって財前五郎が完全に勝ったところで終わってたんだ。
勧悪懲善というか、一人去って行く里美医師、彼の見上げる虚空にすべてが凝縮されているのですね。
しかし加藤嘉の大河内教授が渋い!
札束を蹴散らすところとかね〜、たまらんわ
それから石山健二郎の財前又一!
二言目には「なんぼや?!」
「権力には金や!!」
ナニワ人はこうでなくっちゃぁ
これ大傑作です。今はあんまり聞かなくなりましたが、ジャンルで括ると「ホームコメディ」 それも贅沢な役者による。京マチ子を筆頭とするメインキャストは皆それぞれのキャラクター を熟知して巧みに演じています。 こういう映画を見せられると心から見入ってしまい、感動すら覚えます。 この映画を見たことのある皆さんそうだと思いますが、後半のこたつを囲んでの家族会議のシーン。 可笑しくて凄くて、圧巻です。吉村監督はこういった演出にも長けていたのかと思うとその幅の広さに 感服してしまいます。何度も見てしまう映画です。
舞台となる時代が高度成長期だけに、若者が怖いもの知らずの豪快さを持っています。お金が入れば、どんどん使うし、女の夢は素敵な人のお嫁さんになること! 今では考えられない平和さに満ちています。今の中国に似てるかな。
この時代に生まれたかったと思わされる映画です。
「10年早すぎた」という増村監督の言葉どおりの映画でした。 谷崎潤一郎原作、タイトルの文字は谷崎潤一郎氏によるもの。 脚本は新藤兼人氏。
岸田今日子さんの、爬虫類のごとき、ぬめりのあるジットリとした演技に魅了された映画です。 船場の裕福な家庭で育った我儘な園子(岸田今日子)が、語り始める退廃的で背徳的な驚愕の世界。 園子(岸田)の夫である弁護士の幸太郎(船越英二)は、婿養子のため妻の園子に頭が上がらない。 夫婦生活も上手くいっていなかった園子は、美術学校で知り合った美しくて妖艶な光子(若尾文子)に、惹かれて溺れていく・・・
園子(岸田)が初めて光子(若尾)を裸体にさせるシーンが濃厚で、裸を目にした時のリアクションが何とも言えません。女の情念がすさまじく面白いのです。 岸田さんが、恍惚とした表情でつぶやく台詞の数々、興奮した演技がものすごくて、リメイク作品(高瀬春奈、樋口可奈子主演作)など、到底足元に及びません。
したたかで小悪魔的な魅力をたたえた、加虐的な「侵略者」光子役の若尾文子さんも本当に魅力的です。 若尾さんが、伊・仏でも人気がある事に納得しました。 仏の女優、J・モローとB・バルドーを足して割ったような魅力だと思います。 あまりにも情けない男達〜園子の夫役の船越英二さん、卑小な小悪党の青年・綿貫役の川津佑介さんの存在も光り、適役でした。 若尾さんのケバいメイクと、妖艶な衣装、白いランジェリー姿、均整の取れたスタイルの良さにも目が釘付けになった作品です。 園子と光子の文通に使用した便箋と封筒が洒落ていて、全編を通して流れるドラマティックな音楽も、男女の濃厚な世界に一役買ってました。
黒い十人の女……このタイトルにして、モノクロームの映像美!
作品全体を通して色濃く出ているモダンジャズを思わせる、アシッドなリズム。
サスペンスでありながらも、どこか滑稽なストーリーはこの人なくして成立し
ないだろう、といえるほど主役の船越英二のクセのないサラリとした演技は作品
に非日常のリズム感を与え、元ミス日本の山本富士子を始め、岸恵子、中村玉緒、
岸田今日子などなど、美しすぎてクセのある十人の女優から放たれる濃密な演技
や台詞まわしは、背後流れているドロドロとした人間の不自由なエロス世界を、
非日常的なものから日常へと確信的なリアリティのある、スタイルとファッショ
ンによって、あくまでファッショナブルに、そしてスタイリッシュに映像として
昇華させています!
これぞ映画全盛期の大映時代、迸る感性を映像の細部に観ることが出来ます。
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