これは室内楽ではない! といいたい。
ピアノと弦3本でここまでやれるのか、と思う。
ブラームスはピアノ四重奏を3つ書いているが、この1番は比較的若いころに書かれた作品で、このあたりから充実した室内楽の俊作が多く生まれている。1、2楽章はいわゆるブラームスっぽい感じで重厚である、とここまではさほど驚くべきものはない。しかし、3楽章は交響曲を思わせる雄大な緩徐楽章で弦3本が密接に絡みつき、より個性的なピアノとともに曲にあたらしい雰囲気を与えている。そして、究めつけの4楽章。狂ったようなジプシー風のロンドと、郷愁をさそう中間部が密接に絡み合い、最後はテンションがあがりっぱなしで突っ切る。
普通これだけの面々を集めると、互いが主張しすぎて、アンサンブルとしてはイマイチとなりがち。しかし彼らはものすごい密接に、しかもその上、十二分に個性を主張しあい、アンサンブルを形成している。クレーメルとバシュメットがアルゲリッチにつられて(?)テンションがかなり高めなのだが、そこをマイスキーが大人びた雰囲気を出して、弦の3本は何本もの弦楽アンサンブルのような音の幅を生んでいる。そしてアルゲリッチは私が主役といわんばかりに、鍵盤上を走り回っているのだが、やはりアンサンブルを壊していない。まさに4人の神業的な技巧と表現が一体になった結果、この名演が生まれたのだと思う。
付け足しのようになったがシューマンの曲もなかなか面白い。とくに4楽章なんかはシューマン的なカッコよさがでている。もちろん、演奏もそういう雰囲気を最大限表している。
ムターの演奏は、第2番が素晴らしいと思う。第1番も悪くないが、第1番は、彼女の持ち前である饒舌な表現があまり生きない作品だと思う。第2番は全楽章において、いかにもムターらしく、スコアにある音を、より際だたせようとするスタンスが生きていると思う。
第3番は、第1楽章ヴァイオリンソロによる第2主題前などで音楽を停滞させる「溜め」が鼻につく。
第4番は、音楽を楽しませながら、かつ、音楽を理解させてくれる演奏。自由に歌いながらも自然である。音に酔わされる。リスナーは、ついオーディオのヴォリュームを上げてしまうであろう。カデンツァはヨアヒムのを弾いているのも良い。この演奏に私は脱帽させられた。「さすがは14才でデビューした根っからのヴァイオリニストによる演奏だ」また「才女ムターの円熟はかくあるべし」と..。
第5番の第1楽章は「序奏アダージョ」におけるムター的ナルシズムが美しい。オケが室内楽的に響く(各パート1名で演奏させている)。32部音符のさざ波が美しい。第1楽章のヨアヒムによるカデンツァがよい。ただ、例の「ムター節」が「型にはまったように」聞こえてしまうのが傷(第1楽章)。第3楽章は、ストレートな演奏。しかも出だしの室内楽的にこざっぱりしたサウンドが、音楽に変化を持たせていてポイント高いと思う。
2005年録音。
学生時代によく好んで聴いていたバルトークのviolin協奏曲ですが、この20年間は聴かずにいたもののクレーメルとブーレーズとなればチェックしないわけにはいきません。ゆっくりめの演奏と少しチョン・キョンファ盤と比べて枯れてはいますが全体のバランスは見事と言う他ありません。解像度の高いバックもブーレーズならではですし、ベルリンフィルらしい音といい、ビオラ協奏曲もまたキム・カシュカシャン盤と一緒に聴きこんでいきたい。
現在ヴィオラを習っている者なのですが、このCDに収録されている『アルペジオーネ・ソナタ』を練習するため、音源として購入しました。ヴィオラのCDを買うのは初めてで、どんなものだろう・・・と期待していたのですが、期待は裏切られなかったと思います(当たり前ですね・・・バシュメットですから)『アルペジオーネ・ソナタ』以外は、最初は聴く気がなかったのですが、いざ聴いてみると・・ヴィオラの世界にどっぷりと浸れます。こんな風に弾いてみたい!!!と思わず思ってしまう(なかなかそうはいきませんが)素晴らしい演奏だと思います。是非、ヴィオラのCDを聴いたことのない人や、ヴィオラを習っている人に聴いて欲しいと思います。他にもバシュメットのCDが欲しくなりました!
アルゲリッチさんの演奏は、 ライブほどかなり演奏速度は速くなりますが、 今回のDVDで、
前半はチャイコフスキー 後半はバルトーク ※そして特典映像(インタビュー)
の2曲ですが、 特にチャイコフスキーの3楽章は個人的に過去最速でした
聴いていてスッキリします!
まさに、忙しい人のための という感じでしょうか(笑)
バルトークも 録音はデュトワとの共演や、 ルガーノ・フェスタでのboxがありますが、
今回はあくまで映像なので バルトークの3番を弾くアルゲリッチさんが観られます!
ちなみに、大画面で観ると すごい迫力でした!(笑)
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