古本とは思えない、いい状態でした。 気持ちよく読めました。 ありがとうございました。
これは、「テイルズオブシンフォニア」のスピンオフ作品「ラタトスクの騎士」のさらにスピンオフ…という少々判りにくい立場の小説の下巻です。 上巻同様、プレイヤー以外にはお勧めできません。
この小説は、「アステルの人間性の表出」の一点につきます。 正しくはリヒター・コレット・マルタをそれぞれ主人公にた短編集なのですが、あとのふたつはおまけと言っても過言ではないくらい、リヒターとアステルの物語が秀逸です。
冒頭の小説には、本編中にはほとんど登場せず、ただリヒターに大きな影響と心の傷を与えた親友アステルがいったいどういう人物で、リヒターとどういう日々を過ごし、死んでしまったのかが描かれています。 とりわけ印象的だったのは、人間よりずっと長生きをするリヒターに対し、アステルが自分もリヒターのように長生きをしてもっと研究をしたいと言う場面です。 リヒターの中では聖人君子のように美化されている(笑)アステルが、彼とて人並みな欲を持った人間であるということがよく表されている場面だと思います。
ゲーム中には勿論アステルの人間性など描かれてはいませんし、ともすればゲーム本編のシナリオがぼやけてしまうエピソードだとは思いますが、「ラタトスクの騎士」をプレイした方には、是非とも読んでいただきたいと思いました。
半面、ヒロインマルタを主役とした短編については、正直マルタの株が下がるかもという点でファンにはお勧めできません。
ゲーム中でヴァンガードの創設者として描かれているマルタですが、短編ではただ成り行きで反政府活動に参加し、母親の復讐はどうしたのかと突っ込みたくなる太平楽ぶりを披露します。 ラタトスクコアを盗んだ経緯も半ば成り行きで、ゲーム中で構築されていた「凛々しいヒロイン像」が音を立てて崩れました…。
私はこの本の元となるゲームをやっていてこの作品全5巻を読みました。原作がゲームでそれに忠実な話の内容、それでかつ絵のうまさ、ゲームだけではなくこの本も傑作といえるでしょう。 同じようにゲームから本になるケースはよくあることですが、私がかつてみてきた作品は、始めをだらだらと書きすぎたあまり後半は一気に飛ばしそれで無理矢理終わらせるというパターンばかりでした。そのせいでゲーム中の重要だったシーンや名セリフがカットされ、駄作と評価されてました。 しかしこのシンフォニアの本はそのようなことが一切なく、きれいにまとまっていました。 今回で最終巻です。この本を世にだしてくれた壱村先生に感謝します。
何故4巻に圧縮して詰め込もうとするのか?未だに疑問です。
前回のファンタジアは全く知らない人が観たら意味不明なのは当たり前。知っている人でも口が開いてしまうほど改変とカットが多くてとてもじゃないけど満足のいく出来ではありませんでした。クオリティが高かっただけにとても残念なことでした。
クオリティはそこそこ、少なくとも作画の崩壊はせずにゲームのストーリーを完全に再現してもらったほうがファンとしてはうれしいのですが・・・。
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