この本を読まれた方は、関東大震災、昭和三陸沖地震と東日本大震災との共通点の多さに驚かれるだろう。アサヒグラフという名前だけあって、数々の写真(陸に打ち上げられた漁船の写真など)で当時の震災被害を知ることができ、また被災者の《生》の声なども多数掲載されていて、非常に興味深い。また、現在と過去の政府対応の違いや、原発という存在に対して考えるには格好の材料だ。少々値は張るが、言葉づかいもそのまま、当時の記事が復刻されており、大正期の文化・風俗を知る上でも資料的価値は十分にある。付録では、「バカの壁」で有名な養老孟司氏の震災に対する考察も載っていて面白い。個人は勿論、図書館や各教育施設に一冊あれば、教材としても使えるのではないだろうか。
地震1ヶ月たった今も復興、復興といわれてますが、何も
進んでない。ナレーションがあり、沿岸部はすべて無残な姿になっています。
阪神淡路大震災も保存版で購入してますが、年月とともに忘れる事のないように受け伝えて行かなければ
いけない、我が家も7日余震で家が壊れましたが、
津波福島の原子に比べたら、倍頑張ろうと思います。
貴重な記録をありがとうございました。
どの場面を見ても涙が止まりません。皆様にもお薦めの作品です。
頑張ろう東北、、
「想定外」という言葉の恐ろしさを痛感する日々です。
こんなにわかりやすく詳細なテキストがあったんですね。
もっともっと過去に学び、自らのできる「想定」の幅を
広げたうえで、現在をしっかりと見つめながら、
生きてゆかなければならないと切実に思います。
昭和8年の津波においての
県庁および県知事・警察・陸海軍・天皇・国会・民間等々の
動きがサラリと描かれていますが、その素早さに驚きました。
しかし今回の「東日本大震災」でも、さまざまな方々が
迅速で適切な動きをされているのだろうと思いますし、
報道などをみても、現地ではいろいろな備えがされていたのだなと
実感します。
これからも何が起こるかわかりませんが、過去に学び、
現在流れてくる情報の正確性を見極め、そして
自分の頭で考えて行動してゆかなければと思います。
一日も早く、被災された方々に平穏が訪れますように。
東北の三陸地方は今回も含めて考えると、この100年程度の間に4度の大津波が来ている。本書では、明治29年、昭和8年、昭和35年の大津波をそれぞれ当時の生存者の声、報道写真、記事などを克明に拾い上げ、津波の前兆、実地被害について、独特の臨場感を醸し出している。
作者も言っているが、自身は地震、津波の専門家でもなく、予備知識もほぼない。いわば全くの素人である。それが素人の目線で史実を徹底的に追跡し、簡易な表現で冷静にそのまま表現したのだ。よって、表現も平易で読み進むごとに慄然とさせられ、まるで蟻地獄のように、「その世界」に引き込まれた。
私自身、本書は震災後に初めて読んだこともあって、過去の3度の被害がまるで、今回のそれの描写ではと何度も驚いた。被災地域名、海岸、河川、漁港名称など、毎日の報道と同じだ。津波の襲ってくる様子を記述した表現も、今回の映像を見ると驚くほどピッタリだ。
吉村氏も、東北の大地も海も、皆知っていたのだ。大地震、津波が襲来するとこうなるということを。それを現代人が「想定外」というのは、臭いものに蓋をして「想定」から「外」しただけではないのか。その意味では人災の側面も否定できない。昭和8年前後の出来事からなら、まだ記憶している住民も多かったろうに。
吉村氏によると、過去の大津波の後、居住禁止になった地域が三陸沿岸部にはいくつもあったが、やがて世代も変わると、居住禁止地域に民衆は戻ってきたという。また、400年足らずの間に、大小の津波被害が少なくとも20件発生しており、人的被害なども出ているのだ。
過去3度と今回が異なる点は、デジタルデータで被害状況が膨大に蓄積されているため、後世に伝える情報量が過去とは比較にならないことだ。今後津波の襲来自体を避けることはできなくても、徹底的な防御を講じ、民の安全を確保することは出来る筈だ。吉村氏が存命なら今回の被害には何と言うだろうか。
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