まず、このアルバムで注目する点は、ト二ー・ヴィスコンティー(よほど気に入ったのか、Liveを含め以降3作起用されてます。)のサウンドプロデュースの妙技でしょう。北米でのラジオOAを視野に入れたJailbreak等に見られるダイレクトでワイルドな生々しい音作りに比べ、実音だけで無く、反響音やホールクラスでのライブを想定した様な空気感のある、より繊細なサウンドに仕上がっています。また、サックスやクラリネット、宗教めいた女性コーラス等を使用したム-ディ-な演出は、Thin Lizzyをまた一つ上のステップに導いています。そして、この“ヴィスコンティーサウンド”は、あの“Live And Dangerous”へと繋がって行く訳です。そして、もう一つ注目すべき点は、スコットの存在です。ロボが一連のゴタゴタでバンドを去った後、彼は二人分のギタートラックを録音せねばならない状況(後にロボの手を少々借りますが)に陥ったのですが、みごとプレッシャーに打ち勝ち、最高の仕事をしています。いつも二番手に甘んじていたスコットの真の実力を窺い知る事の出来るアルバムです。