FBI訓練生クラリスがレクター博士に合う場面。
レクターが立って彼女を迎えているのに驚いた。彼女を見て立ち上がったのではない。
初めからわかっていたの!?エスパー!?(後に音声解説で納得。)
最初から全力全開で博士の恐ろしさを堪能させてくれます。
この後の質疑応答の場面も博士のいかれぶりが素晴らしい。いかれぶりと書きましたが、
IQはずば抜けて高いのですが、使う方向が邪悪です。
博士はそんな人なんだなあと思いました。
事件の犯人もかなりのサイコっぷりを見せてくれます。
最初見たときは小学生でよく分からなかった。怖いというからなんだよと思いましたが、
しかし、分かるほど賢くなくて良かった。
分かったらあまりのおぞましさに夜寝られず、人間不信に陥り、
精神的にいびつな青年になっていたかもしれません。って言いすぎかもしれませんが。
レクターの異常性、クラリスのまっすぐさが渾然一体となって
ものすごいきらめきを放つ映画になっています。
とはいえ、精神的に来る映画です。見る人を選ぶでしょうが、
この演技力、演出、脚本、編集は見事。17年たった今でも充分見れます。
アンソニ・ホプキンス主演。「羊たちの沈黙」「ハンニバル」に続くレクター博士のシリーズ三弾目。 実はこのレット・ドラゴンが一番初めの話になります。このことはあまり重要でないのですが、 なぜレクター博士は羊たちの沈黙で既に捕まっていたのか? 犯罪心理学の超天才である博士が、なぜ捕まるのか理由がここで解明されます。 「ハンニバル」は映画として賛否両論はあったものの監督リドリー・スコットの「個性」によるところの 成功であったと思えます。 「脳みそ・・・」といった残虐性や派手さを抑えてどちらかと言うと「羊たちの沈黙」に近い「心理的」 レクター博士との知的攻防の空気感です。 クラリス捜査官(女)とレクター博士と同じようにFBI捜査官のグレアム(男)とレクター博士との関係が 生じる点においても共通します。 また、レクター博士を中心とするキャスティングも素晴らしく、エミリー・ワトソンの盲目の演技、 レット・ドラゴンのレイフ・ファインズや時代感を持って以前の役者たちを起用していますが、 そこまでしていながら少し勿体ないような感じも受けます。 しかし、レクター博士を語る上でも知る上でもとても良い作品だと思います。
この映画、ギャスパー君のフルヌード有り、後姿なのですがコマ送りにして見たら太ももの間から大事なものの黒いかげが見えるような気がします。ですがカケラ程度です、僕は買ってよかったと思います。モロでは無いですが。
過去のレクター・シリーズはすべて観てましたが、本作は評価が微妙だったり、若手俳優によるレクターの演技に期待が薄かったので、いままで観てませんでした。しかし観て驚きました、面白いじゃないか!と。始まって早々、美しさと緊張感が張り詰めた映像に目を奪われました。本作が過去のシリーズと大きく違うところは、舞台が現代から1950年代になったところ。レクターの若い頃を描いているので当たり前ですが。なので、映像の雰囲気が今までと違います。冒頭のハンニバルの家族と幼い妹が殺されるシーンはとても切なく、以後のハンニバルには感情移入してしまいました。今回のハンニバルの犯行は妹を奪った男達への復讐なので、殺害シーンは不謹慎ながらもスカッとしてしまいました(ゆえに、肉屋の殺害シーンは余計だったかも)。ハンニバルの存在に気付いた敵側も反撃を試みる展開も面白かったです。若いながらも医学知識を持った天才的な頭脳と、相手の行動の先を読むハンニバルの犯行には、のちの中年・初老のレクターの面影が見えました。ギャスパー・ウリエルは経験が少ない若手俳優さんながらも見事にハンニバルを演じきったと思います(ホプキンスとはまるで顔が違いますが・・・)。最後に明かされる真実はショッキングでした。あの一言でハンニバルは真のモンスターになったと思います。私はそんなに気になりませんでしたが、日本人のお怒りをかった間違った日本の要素はいらなかったかも。日本版は剣道や鎧のシーンなどはカットしてもよかったかもね。
怪物と言われるハンニバル・レクター博士の少年時代を描いた作品。どうやって怪物が出来上がっていったのか、その生い立ちを追っていくのだけれど、やっぱりわからない。この人は、生まれついての怪物だったんじゃないかと思わせられる。
第2次大戦で、親や家族を失ったり、自分自身も悲惨な目にあった子どもはたくさんいるだろうが、そのすべてが怪物になったわけではない。ハンニバルはもともと彼の中に怪物が棲んでいて、それが表に出てくるきっかけになったのが戦争による家族の死と紫夫人の出現だったのではないかと思う。この二つがなければ、彼の中の怪物は目を覚まさなかったか、もしくはもっと遅くなってから現れたのではないかと思う。
何のためらいもなく人を殺す男。しかも、切り刻んだり、その相手の肉を自ら食べたり、普通に考えたら吐き気を催すような恐ろしい人間であるのに、なぜだか彼には嫌悪感を感じない。なぜだろう。彼自身の美意識に共感するからだろうか。
この上巻では、家族と家庭教師のやコフ先生と過ごした時代と、叔父に引き取られてから紫夫人と過ごした日々を通して、どのように彼の人格が形成されていくかという点が読んで取れる。ある意味、この怪物を作り上げたのは紫夫人なのではないか。そんな風に感じた。
ただ、今までにハンニバル作品になじんでいると、ちょっと毛色の違った作品ではあるので、違和感はあるかもしれない。これまでの流れとは切り離して、「番外編」として楽しむ作品だろう。
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