「口裂け女伝説」犬木加奈子 ・・・ 現代に蘇る口裂け女
「悪夢へいらっしゃい」関よしみ ・・・ 死の夢が実現化していく
「逃げても、逃げても・・・」井口かのん ・・・ つまらない日常から逃げ出した先は
「ある朝、起きたら」谷間夢路 ・・・ カフカも仰天!変身譚
「ストレス」蕪木彩子 ・・・ストレス解消薬の悪魔の実験
「伝言板」かずはしとも ・・・・ ほんの悪戯が、思わぬ悲劇に
「人魚残影」日野日出志
どちらかというと、血が飛び散る「正統派」な作品の比重が高いかな、と。
大御所の犬木、関の作品はさすがのクオリティー。最後のオチ方が黒過ぎです。
あとは井口かのんの作品が、この作品集、そしてこの作者にしては(一応)前向きに
終わっていたのが意外でした。 ホラーでこういうのもなんですが読後感はすごく
良かったです。 かずはしともの「グリム物語」常連になる前の作品も最後のドンデン返しが
ちょっとベタだったけど上手くしめてたかな。
最後の日野日出志の作品については敢えて内容を書きませんでした。
短いながらもホラーで終わらない、美しくて哀しい余韻の残る作品です。最後のコマに
涙腺がゆるむかも。 この作品を最後に持ってきた編集の巧みさにただただ脱帽。
ホラーファン必読の作品集です。
この作家の本を初めてみたのがこの本です。怪奇漫画は多々ありますがこの人の漫画はおどろおどろしくて気持ち悪い。カラーページの色使いは暗めの極彩色で「出来物」や「穴」、「寄虫」「飛び出す目玉」などの描き方や音声表現がじぶんの腕を這う「みみず」の大群の様。
文字だけではわからないからその世界を見てみたい人はぜひ買ってみて。未だにこの表現をまねする人はいないから…。(苦笑)
でもね、人は見かけで判断しちゃいけないよって言うメッセージが入ってます。蔵六はいいひとなんだよ。病気のため差別・隔離されてしまう悲しいお話です(涙)。最後まで背けずしっかり目を見開いて気持ちをくみ取って読もうね。
この第2巻では、中学校の生物部の生徒が不気味な奇形魚を捕えてしまった事に端を発する怪事件を描いています。実はこれ“魔胎魚”という魚の悪霊で、次々と人間を襲いはじめます。そして魔胎魚を倒すべく、再び地獄のどくどく姫が召喚される運びとなります。1巻と比べるとテンションは落ちてます。
秋田書店の描き下ろしホラーコミックスシリーズは、「血みどろ館」「死霊の数え歌」「オカルト探偵団 死人形の墓場」「学園百物語」「地獄のペンフレンド」等、手抜きぽい作品や駄作が目立つのが残念です。その中にあって、この「地獄のどくどく姫」1・2巻と「怪奇死人少女」の2作は比較的出来が良いのでおすすめできます。なお「学園百物語」のみ短編集で、それ以外はすべて1冊で1つのお話です。
丸尾末広さんの犬神博士が文庫本で読めて良かったです。
有名な漫画家さんの作品が一冊に詰まっていて楽しめました。
ホラー漫画は苦手な私ですが、 あまり恐くなく読むことができました。
76年に少年キング増刊で連載されたものです。凝った設定や濃密なストーリー、起伏ある展開など、日野作品でもトップクラスの完成度を誇ります。間違いなく、長編代表作のひとつ。物語は、少年が“地獄小僧”に転生する前と後で大きく2つに分かれます。
冒頭、円間博士の一人息子の大雄が事故で死亡します。謎の老婆の授けた儀式により彼は墓から甦るが、もう以前の大雄ではありませんでした。前半は、円間家にまつわる因縁、怪物になり果てた大雄の凶行、それを追う刑事などが描かれます。
前半のクライマックス『生まれ変わった怪物』で彼は再び絶命し、全く別の生命体である地獄小僧として生まれ変わります。転生して下水道で育つ様子も面白いです。『武者幽霊』からは、地獄小僧が様々な人間や物の怪と関わりながら、放浪の旅を続ける事となります。
そこはかとない“異端の者の悲哀”が漂う物語で、地獄小僧が雪国にたどり着き、行き倒れて地獄に落とされる『雪少女』『無間地獄』は、特に叙情・悲哀の色が強いです。
もちろんグロテスクで凄惨な描写も満載で、そっちの方面の期待も裏切りません。中でも『悪魔っ子』で地獄小僧が出会う、猟奇に取り憑かれた小学生には背筋が凍ります。空きビンに犬や猫の目玉を詰めてコレクションしたり、ネズミを生きたまま硫酸に漬けて遊んだりするのですから…
ひばり書房の単行本「地獄小僧」に加え、同「恐怖列車」に収録されていた2話分を収録し、さらには「地獄の絵草紙」版出版の際に補完されたラストの9ページもちゃんと入ってます。この1冊で、「地獄小僧」シリーズは全部読めます。
「字吾久城の巻」 「変身の巻」 「円間家の秘密の巻」 「生まれ変わった怪物の巻」 「武者幽霊の巻」 「悪魔っ子の巻」 「雪少女の巻」 「無間地獄の巻」
*これは文庫版のレビューです。ひばり書房版のレビュー蘭にも、自動的に載ってしまいます。
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