阿漕の存在がいちばん好きです。 初めて読んだのはもうかなり前になりますが、ときどき書棚から引っ張り出してクックックと 笑いながら読んでいます。 いきなり古典を読むのは、少しとっつきにくいかと思います。 田辺さんが、ほんわかとやさしくユーモアたっぷりに書いているので、ぜひお楽しみください。 『舞え舞え蝸牛』とあわせてどうぞ。
この本はとにかく解説が丁寧で素晴らしいです。 まず、うたにも詠み人にも、読みにくいと思われる漢字にはルビがふってあり和歌を読み慣れていない人にも読みやすいと思います。 そして解説は、そのうたが詠まれた時代背景や、詠み人の生い立ちにも触れているので、よりうたを理解しやすくなっていると思います。 百人一首を覚えようと思い購入したのですが、うたの詠まれた背景がわかるとすうっと頭に入って来ます。 闇雲に暗唱するよりもずっと楽しいですね。 百人一首を覚えたい人も、日本史が好きで読み物を探している人にもお勧めします。
L25に紹介されていたところを、探して購入しました。
復刻版とは知らず読んだのですけれど、現代と全くずれていない。
田辺聖子、すごいです。
吾郎への愛情、剛への対応、それぞれの想い、どれをとっても深くうなずき、一気に読み終えました。
読み終わった後、ひとつため息と ほろっ 。と感慨にふける。
どの恋愛マニュアル本よりも、むしろ一番心に納得感を得た一冊。
映画を見た後に、文庫本を読んだ。映画は脚本家の力を感じたが、現代の若者像を恒夫に負わせすぎているのかもしれない、そういう感想をもっていた。もっといえば、映画で見たかったのは「純愛」だった。文庫本にある田辺の描くジョゼと恒夫の恋愛は、もちろん純愛だ。 好きな人ができたら見たかったという虎を見ている時と水族館に行った日の夜更けジョゼと恒夫が魚のようになる時、この小説の「純愛」さは最高潮を迎えている。個人的には、祖母が死んだ後に、恒夫がジョゼのもとを訪れた際、「帰れ」といいながら「寂しい」というジョゼのありきたりとも思える行動が、ジョゼだからこそ感じさせる、美しく儚い人間らしいかわいさが何ともいえず好きだ。 しかしながら、本当の結末としての「純愛」は、「死んだもんになっとる」、というジョゼの台詞に埋め込まれている。完全無欠な恋愛と死は同義だと、いう。ここにこそ、この小説の恋愛のいみが明らかにされている。もっともその意義は深遠なものでもあり、簡単にはわかったとは言えない近づきがたさをもっているのだが。それでもこの1節のために、この短編集はある、といっても過言ではないだろう。 さらに、映画との違いを楽しむならば、映画での恒夫の今時の大学生らしいともいえる恋愛スタイルとサガンの「すばらしい雲」の1節が補助線となっていることに留意してみれば、さらに、ジョゼと恒夫との「純愛」が深みを増してくる。 この続きはとにかく、小説と映画を見てからということで。
アメリカに永住して、はや20年。 20年前ロサンゼルス空港にトランクひとつで降り立った日、 飛行機の中で読んでいたのが、田辺聖子さんの当時の新刊”新源氏物語1”でした。 見知らぬ町に住み、英語もまったくわからなかった私はたった一冊のこの本を何度も何度も読み返しました。 先日、日系書店で思いがけずに文庫版になっているのをみつけ、早速3巻購入し一気に読んでしまいました。 20年かかってやっと読み通せた時、あの若かった日の自分と現在の自分が重なりました。 源氏物語はほとんどの訳者の作品に目を通しましたが、”新源氏物語”が一番読みやすく、わかり易い。 老若問わず楽しめる作品だと思います。
|