「樹魔」と「伝説」は、他の方々のレビューに詳しく書かれているので、私は「ケシの咲く惑星」「月子の不思議」「墓碑名2007」について。
「ケシの咲く惑星」は、地球と金星で起きた、家族の悲しい物語。舞台は未来。2100年の地球から始まる。夫婦と息子1人の幸せな家庭。しかし、医師だった夫の勤務先が火事になり、激しい火の中、屋上に取り残された夫が患者である子供を助けられなかったのをテレビで見た妻は、夫を認識できなくなる。家族3人は夫の研究のため金星に行き…。SFでありながら、同時に発展していく文明の中で、人がどんな風に精神的に脆くなっていくかを問う作品となっている。考えさせられることは多かった。
「月子の不思議」、不思議な力を持つ月子と出会う主人公たち。月子には、不思議な力の方にある秘密があって…。これもSFで、同時に生態系が破壊されつつある地球をどうしていくか、という問いが描かれている。
「墓碑名2007」。これはせつない。原作は光瀬龍さん。短編だが、その世界観が見事に表現されている。
「樹魔」と「伝説」、水樹さんだからこそ描ける作品だと思う。
著者紹介に書かれた通り、私も読破した後、噂の「幸福の変質」が出てきました(笑) 難易度の高い漫画(哲学的かな?)なのですが、ぜひぜひ読んでください!
いやすごい作品だった。 読み終わった瞬間、息をつくどころか、逆に息を呑んでしまった作品なんて初めてだ。 宮崎駿の「風の谷のナウシカ」以来の大作ではないだろうか。 実際、ナウシカと大いに似ている点がある。 それは、先時代が予め決定してしまった「人間の行く末」に対して反発し、否定し、 約束された安定や調和の希望をあえて断ち切ってしまうこと。 しかしこの作品ではそれだけで終わらない。 更に、その人間の「反調和の意思」までが実は予定されていたことであり、 そしてそれこそが人間の進化のための救いであると位置づけられている。 いやほんとにすごい。 宇宙は安定に向かってゆっくりと走っている。すなわちいつかちりとなって消える運命だ。 しかし人間の中にこそ、「新宇宙」は存在する。複雑で膨大な情報の混沌として。 こういった考え方が全編を貫いているように思う。 すべては「進化のため」であった。 進化とは善なのか悪なのか、そもそも必要なものなのか、まったく言及されていないしわからないままだ。 しかしこの漫画の世界は、そんな俗世的な感覚からはるか高みにある。 壮大という表現でもまだ生易しいかもしれない。 とにかく「大きなうねり」がそこにあって、読者は飲み込まれる以外の術を知らない。 読み終わった後の感動は本物だ。喜びでも安堵でもない、感動としか呼べない感情で満たされる。 読んで損はない。
目に見えぬ神の秘密に近づくため、青比古と桂は神鏡のある里へ旅立ちます。その間に、タカヤたちは鬼幽たちの一派に襲われ、トオコは双子のヨウコと出会って殺され、一狼太(那智)は鬼幽(威神)のしもべとしてとらわれ、タカヤは深手を負います。桂の死んだ弟はヤチ王として蘇ります。生きている側のヨウコは、トオコの魂をもつトオコとなります。ストーリーがさらにややこしくなります。伏線だらけの第2巻ですが、鬼幽の一派が青比古たちを追ってくる・・・というサスペンスが大きな軸になっています。急転はしているものの、それを消化する間もなく続きが読みたくなるようなスピーディーな巻です。
この漫画、おもしろいです。魅力があります。 気になる方は是非読んでみてください。 普通の漫画と違い、色んな事、学べるし、考えてしまう、 そんな漫画です。
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