田中氏のエピソードについては、魚住昭「特捜検察の闇」でも取り上げられているので、併読をお勧めする。 本書は検察暴露本ではない。裏社会暴露本でもない。この種の本には裏切られた組織や国家に対する「告発」が期待されるが、本書では「正義」が説かれるわけでもない。 著者の後半生の盟友であるヤクザ・バブル紳士の多くは、貧困から立ち上がり、少なからず被差別者が含まれる。それに対峙する検察という「国家権力」。宿命を帯びた両者の攻防が、この両方に又をかけたという著者のまれな体験にもとづいて描かれている。本書で興味深いのは、検察が事件の絵を描いていくプロセス、ならびに「仕事師」たちが資金調達の絵を描いていくプロセスが、実にわかりやすく説明されているところだろう。描く絵は違うものの、何もない(ような)ところから何かつくりあげるという点では、両者はよく似ているのかもしれない。 バブルの立役者たちの多くは貧困や被差別者からのしあがった。企業社会の外部を生き抜いた熟練が実に見事なものとして描かれている。しかし彼らの社会階級の澱が落ちることはなかった。結局はバブルの崩壊の責めを全て負わされ、社会から排除されていくのだ。そして、彼らに責任を押し付けた大資本・大銀行は、検察・国家という守護神に護られながら、さらに肥え太っていく。本書が開く企業社会の釜のなかからは、階級と地位の上昇と没落に哀歓する人の群れが顔をのぞかせている。80年代バブルの情景を知る上でも、興味深い本。
森の中で自然にありがとう、生きていられてありがとうと言う事を感じ、身の回りには沢山のきれいな事や幸せが溢れているんだよ。
と言う事が描いてある本。 ちょっと神秘的な森の中の身近なちょっと素敵な事が描かれています。
文章がちょっとわざとらしく(オーバーに)感じてしまうところがあったので、星4つにさせて頂きました。
タイトルが秀逸。 『世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい』 とても心に残り、森達也さんの人間観をすごい表していると思います。
この作品で初めて森さんを知りました。 こんなにもメディアの意見に侵されず、正直に素直に生きている人ってそうはいないと思います。 僕は思考停止しているのかな、森さんの素直な意見がとても印象的でした。
読んでいて何度も思ったのが、「何でこの人はこんなに責任を負うのだろう」ということでした。 森さんは悩む、当事者でもないのに知ってしまったから、気づいてしまったから悩むのです。 仕事だから悩んでいるのではなくて、本当に悩んでいる、苦悩しています。 たいていの人はたとえ戦争でも自分と関係がなければ、何も考えない、そのことに疑問もない。 あまりに当たり前の疑問すら発せなくなってはいないでしょうか? その状態が森さんのいう思考停止であり、そこから始まる他者に対する想像力の欠如なのでしょう。
森さんはあるがままに素直に書いているから、文章は結構ゴツゴツしています、きれいな加工品ではない素材という感じ。 なので文章は下手だと感じる人もいるでしょう、ま、それも味ですね。 味覚に対する反応は様々。
メイドだけでこのボリューム感は満足です。こういった作品がもっと出て欲しい!って切実に感じてしまいます。個人的にはほんとうに満足の16時間です!
テレビの番組で取り上げられてからこの事件のことを知り、本を購入しました。
とても興味深いです。数日で一気に読んでしまいました。
自分の知らないタイプの人間が存在していることを知り、人の転落する過程にショックを受けました。
じつに興味深く、とても面白かったです。
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