素晴らしい。冒頭から最後まで無駄なサウンドは一切無く、また曲毎の個性が強くそれでいてアルバム全体の印象は決して散漫にならず上手く統一されている。アルバム一枚の中で多くのアプローチに挑みすぎて纏まりを失ってしまったモノも多々あるが、このアルバムはその種ではない。個人的にガーデンはグランジ期のバンドの中でも極めて安定し、優れたバンドだと考える。その理由として、ボーカルの声に安定感がある、楽曲の独創性とアプローチが幅広い、演奏のレベルが高い、ということ。クリスの声は高音・ファルセット時に素晴らしい伸びを聴かせ、それでいて音域に関係無くメロディにブレが無い。カートもエディもペリーも越えた真のボーカリストとしてのクリスがそこにはいる(次点でアリスのレインも素晴らしい)。独創性にしても、特にこのSuperunknownに於いては中東〜東南アジア系のサウンドからサバス直系、パンク要素強いモノからサイケまで、とても幅広いサウンドメイキングに挑み、かつそれらが上手くガーデンのモノになっている。これほどの振り幅を見せたバンドは同時期のグランジにはまずいない。そしてそれらのサウンドを支える卓越した演奏技術。早いテンポでかつ複雑なリズム展開をするトラックでも、ドラムは一分の乱れも無く叩きこなし、聴いていても非常に安定感を得る(この点ではアリスのドラマーなどは決して上手いとは言えない)。ベースもメロディラインからリズム重視な部分までドラムと一体化しサウンドを腰の座ったモノへと昇華させている。そしてそのリズム隊に乗っかりメタルなリフから奇想天外なサウンドまでを複雑に掻き鳴らすギター。ガーデンを聴いていて独特のノリ・グルーブを感じるのは確固とした技術に支えられた彼等にしかないリズムがあるからだ。アリスのある種の終末感から初期パールの勢い・ニルバーナのポップさ…言わばグランジの全ての要素がこのアルバムには詰まっている。
御案内させていただきます。次のアルバムバッドモーターフィンガーで大ばけするわけだが、その前段階のアルバム2枚目。かちっとしたアルバムではなく、ブレイクする予兆を感じさせるやや散漫なアルバム。サバスやツエッペリンのイディオムをうまく取り込みグランジの波にのったバンド。よくも悪くもブレイク前夜のアルバム。(6点)
解散の直前に出した作品です。前のヒット作と比べハードな曲が少なく地味な印象を受けますが、往年の作品群の中ではクリスの歌声が最もよく生きた名作です。寝入りばなに最適、喫茶店のBCMに最適でございます。ともかく、リズム隊より、クリスの歌唱力に比重を置いて聴いている方には、これ以上ないぐらいの名盤と言えるでしょう。
アルバム至上主義の彼らは、解散するまでBEST盤をリリースしなかった。 シングル中心に、ライヴで欠かせない曲ばかりの選曲。 グレイテスト・ヒッツ? 偉大な彼らの足跡。
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