近藤正臣主演の神津恭介シリーズ最後の作品。電車内での不可解な殺人、マンションでの密室殺人等どちらかというと地味な感じの作品である。 しかし、ストーリー自体は丁寧に伏線を拾って収束する形を取る本格ミステリーの王道。設楽りさ子(当時)の初々しい演技も見もの。 近藤正臣がいつになく気障な神津恭介を演じていて、最高だ。昨今のライトな2時間サスペンスと比べて丁寧な作りがなされている。地味だが、有終の美を飾るにふさわしい作品。
「〈現在〉が〈過去〉に焼き尽くされた時、人は〈暗闇〉の中で〈運命(未来)〉が来るのをジッと待つしかない」私が大事な人に頂いた言葉。図らずもこの〈漫画〉を読んで思い出した。 「彼は科学者にもなれたろう、軍人にもなれたろう、小説家にもなれたろう、しかし彼は彼以外のものにはなれなかった(小林秀雄『様々なる意匠』)」〈私〉が〈現在〉まで〈積み重ねた事(過去)〉により〈さだめ(運命)〉を引き寄せてしまう。〈引き寄せられた運命(引き寄せられた未来)〉は、〈私〉を〈未知の私〉へと導く。〈過去〉により〈運命〉を引き寄せ、〈運命〉により〈私〉を造形する。〈人間〉は〈元来〉そういうものだった。 私の個人的な感想です。 2012年12月6日 AM6:54 田井英祐拝
ほーむれすさんに、ここの漫画の登場人物のように、気安く話し、できないでしょ・・。
でも、できちゃう。漫画だから。
しかも、あったかい、あったかい、漫画だから・・。
いい世界です。その一言です。ぜひ読んで、あったかくなってください。
読み終えてから、暫く水色が私を包んでいました。言葉では表しにくい感情です。切ないとも、希望が持てるとも言い難い、不思議な感覚でした。 日本独特の空気感というのでしょうか。何かを感じていたようです。(無に始まり無に終わる、空虚感に押し潰されるような…)ワタルと鏡子は、その世界を照らしてくれていたように思います。 あとがきも、是非目を通してみて下さい。
古事記から選ばれた物語が5つ。 なんともおおらかな作風でこころが洗われる。 作者は近年長らくスランプだったようだが、復活を強く印象づける。 物語にそのつど解説漫画を付随させるアイデアが素晴らしく、自身が教養のある作者(=國學院大學で折口信夫などを研究していたようだ)にしか出来ない技で、類書と一線を画す。
描き込んでいない画風に拍子抜けする読者もいるだろうが、これは貴重な完成度の高い漫画(書下ろし)である。
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