『あなたへ』(脚本:青島武)は、久々の高倉健主演で、やはり地味ですが重厚な映画でした。 実感として、血しぶきと汗の飛び散るヤクザ映画のスターの横顔が余りに「老い」ているので、驚きました。 時代は流れ、時代は去った、でも、映画は永遠だなー、と寂寞とする。
途中さまざまな人たちと旅で出会います。 例えば、山頭火の自由詩を口ずさむ元教師、ビートたけしの演技は、完全に高倉健を食っていました。 ビートたけしは、詐欺師という配役がピッタリですねー、 道を外れますが、私は彼の映画では「教祖誕生」 (1993年公開)が一番好きです。
草なぎ剛、佐藤浩市ー、余貴美子、綾瀬はるか等、 スクリーンにはベテランの俳優達が顔を揃えています。が、何かしら過去に暗い経験をした人たちばかりです。 秀作ではないが駄作でもない、名優達がそろっているが、誰が主役でもない、 平成の世に生きる庶民の何気ない日常がまた味わいのある映画でした。 でも、誰も彼もが輝いているが、いびつな真珠のようです…。
特に、「旅」と「旅行」の違いは分かりますかーなどと聞くビートたけしのセリフも演技も素晴らしかったです。 答えはネタバレなるので書きませんが、「確かにー」と感嘆しました。
今から十数年前、VHSしかない古びたレンタルビデオ店で今作品を見つけ、見ました。 いつも脇に座る大滝秀治さんが主演(初主演)・主人をつとめ、八千草薫の妻に、仁科亜希子の娘と、エッ!と思われるキャスティングが、自然とハマり、昭和にありがちな、ちょっと(大分?)堅めの一般家庭が描かれていて、懐かしい匂いを感じさせてくれました。今ではほとんど少なくなったロケシーンもはさみ(スタジオもHBCを使用とのこと)、いかにも北海道の片隅にいる駐在さんという感じが醸し出されていて、とても良かったです。 また見たいなと思い捜してもDVD化はしていないようで、いつか出るかもしれないと、度々検索していましたが、やっと今回の販売がヒットしました。大滝秀治さんが亡くなられたゆえが販売に繋がったと思いますが、私同様に、大滝秀治さんに魅かれていた方、昭和の時代を懐かしみたい方におすすめします。 大滝秀治さん、ご冥福をお祈りします。数々の作品、ありがとうございました。
本放送を録画しながら、見る機会を逃してきましたが、大滝秀治さんが先日お亡くなりになり、追悼の意味も込めて今回DVDを購入し、改めて拝見しました。謙さんとTBSというといつも清弘誠さんが関わってこられた人情ドラマが多かったと思うのですが、番組HPなどの情報を拝見すると、今作品が清弘さんのご退職作品だったようで、豪華キャストが集結し、各登場人物を丁寧に描く素晴らしい脚本、世界にも評価される本格派ドラマが仕上がったのももっともなことだと思いました。登場人物が少ない分、それぞれの背負ってきた過去を限られた台詞や表情で描くのは大変だったと思いますが、皆さん芸達者で引き込まれました。自らの将来にも悩みながら生徒たちを指導する若き法務省職員であるオダギリジョーさんも、受刑者たちもそれぞれが悩みながら最後は前向きに生きて行こうとする姿が素敵でした。大滝さんと謙さんの最後の共演作になったかと思いますが、この作品で良かったです。特典映像などはありませんが、日本語字幕もついていて、学校現場で道徳や人権学習の教材としても生徒たちに見せてあげて欲しいとまで思いました。
「千の風になって」がヒットチャートの1位になったこともあり、日本中にこの曲が届きました。今またここに、3つの朗読と変化にとんだインストゥルメンタルと合唱が収録されており嬉しい限りです。
演奏では、幸田さと子さんのとてもよく歌うヴァイオリンの演奏に惹かれました。伸びやかで透明感のある音色がどこまでも遠くへ届くようなヴァイオリンです。「千の風」の世界を一番理解して音にのせていると感じました。フルートの赤木りえさんの演奏も同様に素晴らしいものでした。
名優大滝秀治さんの朗読はいつもながら味わい深いものがあります。新井満さんの詩よりも原詩に近い訳ですね。
11歳の宮城とわさんによるオリジナルの英詩の朗読によって、原詩のよさをあらためて知る方もおられると思います。世界中の多くの人がこの詩によって幾度となく感涙されたことでしょうから。
少し気になった点は、藤原真理さんの演奏において藤原さんか編曲を担当された上田益氏の好みだと思うのですが、新井満さんの旋律とは少し異なり、上昇音型で1ヵ所半音上げて演奏されています。音楽的に変化をつけられる意図も理解しますが、新井満さんのオリジナルのほうが素直で聴く者には心地よいと思います。個人的には惜しいと感じました。
愛する大切な人との永遠の別れという悲しみのどん底にいる方に是非聴いていただきたいアルバムです。少しでもその方々の心に安らぎが訪れますように。
このビデオが発売される前年に、NHK-BSでほぼ同じ内容が放送されたが、見ていて「どうしちゃったんだよ!」と思った。東京ド-ムから1年しか経っていないのに、すっかり老け込み、声が異常に枯れている(もっともツア-前半はもっと声が出ていたようだが) ビデオ発売を知った時も、「何故今更1年前の、それもNHKで放送された内容とほぼ同じ物を…、それよりツア-は?」と思った。長渕初心者にはお勧め出来ません。
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