このCDを最初に聞いた時に思い浮かべたのはジョンヘイダックという建築家の天使についての詩だったり、自殺者の家と自殺者の母の家という作品でした。ジャケットの娘さんはグロピウスというバウハウスの校長を務めたこともある有名な近代建築家の娘だそうです。 イザベルファウストの演奏はとても現代建築的であり、ベルグのこの曲はここで聞けるような演奏でなければならないという確信に満ちたものを感じます。 ベートーベンのも一度解体して再構築された響きです。 ベルグとベートーベンの2つで一つの音楽体験となります。そのどちらも作品の完成度は驚くほど高く、1枚を通して聞いたときの感覚は良い文学作品からくるものと似ています。 録音も素晴らしく、☆5つです。
Beethoven
Complete Sonatas for violin and piano
CD 1
Sonata no. 1 in D major op. 12 no. 1
Sonata no. 2 in A major op. 12 no. 2
Sonata no. 3 in E flat major op. 12 no. 3
CD 2
Sonata no. 4 in A minor op. 23
Sonata no. 5 in F major op. 24, "Spring"
Sonata no. 10 in G major op. 96
CD 3
Sonata no. 6 in A major op. 30 no. 1
Sonata no. 7 in C minor op. 30 no. 2
Sonata no. 8 in G major op. 30 no. 3
CD 4 + DVD
Sonata no. 9 in A major op. 47, "Kreutzer"
Isabelle Faust, violin
Alexander Melnikov, piano
イザベル・ファウストの「ベートーヴェン:Vn ソナタ」において、彼女は、ところどころノン・ヴィブラートで弾いたり、テンポ、アーティキュレーション、デュナーミクにおいて、これまでにない、何か新しい演奏を試みているようだが、彼女は成功している。
メルニコフというピアニストの演奏は、私が過去に聴いた 10 種類以上の「ベートーヴェン:Vn ソナタ全集」のなかで(Pf 伴奏の)ベストだ。たとえば「作品 12 の 3」は『ピアニスト殺し』と言われるほど、ピアニストに技巧的負担を強いる作品であるが、メルニコフの演奏は自然に聞こえるし、イザベルをうまくサポートしていると思う。そして「作品 96」第 2 楽章におけるピアノの先導や「作品 30 の 1」の第 2 楽章におけるアンサンブルが良い。思うに、ベートーヴェンという作曲家はやはり、ピアニストであるので、それ故に、彼は、彼の Vn ソナタにおいて、ピアニストに、かなり高度なレヴェルの演奏を要求した。メルニコフの演奏は、そのことを再認識させてくれる。
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