NHKのこのシリーズ全体にいえることだが、決して表舞台に出てこないような地道なしかしとても大きな仕事をやってのけた人々の生き様が見えてよかった。 この作品でも、トンネル開通に賭ける情熱がひしひしと伝わってきた。死者が出ても負けずにやり遂げたことには心を打たれた。
難工事だった青函トンネル工事。番組のエンディングで、指揮をとった方が、工事中の事故で、亡くなった方々の写真を胸に掲げながら…一緒に貫通地点を越えた場面は、思わず涙します。名作です。
本書は国鉄技術陣の様々な物語を1冊に収録したものです。個人的には匠の時代の中でもベスト3に入る物語です。5編から成り、新幹線、青函トンネル、新宿駅24時、技術長室物語、国鉄技術の明日、と銘打たれていますが、私のお気に入りは「新宿駅24時」です。この話は他の「匠の時代」と少し毛色が異なり、新技術開発というよりは、出札、改札、人員整理などノウハウ、スキルの匠が紹介されていると言った方がいいでしょう。マンモス駅新宿で24時間働く様々な人が紹介されていますが、これらの方々にスポットライトを当てた著者および新宿駅で働かれている職員の方々には多大なる拍手を送りたい気持ちです。現在の人員体勢はわかりませんが、本書を読んだ後に新宿駅に行ったら駅の風景が又違って見えることでしょう。 本書を通じて感じたのは、日本の将来を真剣に考えながら、単なる欧米の真似ではなく日本にあったソリューションを独自に生み出していった技術陣の凄さです。これは現在欧米スタイルの経営手法を盛んに薦めるコンサルタント達に強く認識してもらいたい点です。日本企業のコンサルタントをする人たちは、ポーター、コトラーなどの本を読むのもいいですが、まず「匠の時代」を読んで、経営手法だって日本独自に発展したっていいじゃないか、という気持ちになってもらいたいです。 本書、コンサルタントだけでなく勿論全ての人にお勧めできます。
東北新幹線が大宮と盛岡の間で開業した1982年の作品です。
当時悪の権化みたいに叩かれていた日本国有鉄道のプロパガンダ映画ではないのか?と疑いつつ生来のドキュメンタリー好きのため映画館で観ました。当時まだ若かったせいもあり、作品中の高倉健の姿にピンときませんでしたがあらためてDVDで観てみると、実にすばらしい映画でした。今、私は「しょぼくれた中年オヤジ」ですが、男はどういう仕事をなすべきか、男子の本懐とはなにか?それが人生のどこにあるのか?実に考えさせられました。この映画を観た若かったとき、ピンときていれば私ももっと「しゃきっと」した中年になっていたかもしれません。ですから、というわけではありませんが、若いが、将来に希望が持てない方がいらっしゃったらぜひごらんになっていただきたい。
見所は、パイロットトンネルが貫通する最後の発破となったとき、短く挨拶をする主人公。そして発破のあとトンネルを風が吹き抜ける、開通の瞬間、滂沱の涙。
というわけで、これは男子の映画なので吉永小百合の役どころの設定に難があることとかはどうでもよくなってしまいます。
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