思い出してみれば、CDを初めて購入したのが〔ダブルフェイス〕だった。
そこから角松敏生や、フュージョンへのめり込んだのでした。
久々に購入した今作も、聞きやすく、今までの経験が濃縮された様なアルバムで最高の気分です。
その青木氏が他界されたというのが本当にショックですが、私は一生このアルバムを聞き続けるでしょう。
パーカーを愛する彼は,1969年にも日野皓正,渡辺文男ら日本人ミュージシャンとパーカーの曲でライブアルバム(SADAO WATANABE / DEDICATED TO CHARLIE PARKER)を出している他,パーカーを取り上げることが多い。 このアルバムは今から20年ほど前のライブで,当時若手のミュージシャンを起用してパーカーの曲を中心に全国ツアーを行ったときのものである。 彼は無名の若手を見つけ,育てることをとても大切にしているように思う。最近のライブでも10代のドラマーを起用してツアーを行っている。このときのバックをつとめた若手トリオ(当時10代後半から30代前半)の演奏は,テンポキープも含め少々荒削りな印象だが,とても息が合っていてエキサイティング。その演奏を高みから温かい目で見つめ,美しくスケールの大きな曲に仕立て上げていく芸術家ナベサダの演奏は白眉。楽しむことができるDVDである。 全編白黒なのと,同名のライブアルバム(CD)より曲が少ないのが残念。
日本ジャズ史において特にプレイヤーにとって渡辺貞夫のバークリー帰り以前/以降ほど 大きな分岐点は無いだろう。帰国後の彼が、菊地雅章を初めとする当時の若手ジャズメン にバークリー理論を伝授したテキストをまとめたのが本書である。この理論が突然もたら された暁光に歓喜した当時の日本のジャズ界が紙面からありありと伝わって来る。 理論書としては、現在においては説明不足などと論評されたりしているが、この本で インプロヴィゼイションを学ぶには確かにそうかも知れないが、ジャズ理論の基本と バークリーの最大の売りとも言えるアレンジの基本を学ぶことは十分に出来る優れた 内容である。 ここからナベサダの、プーさんの、ヒノテルの音楽が始まったと言っても過言ではない。 単なる理論書には無い歴史と精神に鼓舞される。全てのジャズを志すものおよび日本ジャズファン の愛蔵の書となるべき一冊である。
本作の魅力は、なんといってもデイブ・グルーシンを筆頭にしたバックミュージシャンのパフォーマンスの素晴らしさにあります。彼等の力なくしてこのアルバムは成立しません。中でもプロデュースのグルーシンの貢献度は絶大。グルーシンのファンに強くお薦めします。
『深川澪通り』シリーズ三冊目。
中篇二篇から成った前著『深川澪通り燈ともし頃』と違い
一作目『深川澪通り木戸番小屋』と同じ
連作短編集のスタイルに戻っている。
しかし一作目にはあった謎解きの要素は
本作ではもうほとんど見られなくなり、
解決さえされない、人情の絡むトラブルを
訳アリの木戸番夫婦が、時にただ見守ることで
癒される市井の人々を描いている。
文章に品位を保ち、饒舌すぎぬよう
語り口はシンプルながら平易では無い。
そして貧しいながらも、日本人が理想とする
近世の日本人の後ろ姿、心意気がここにある。
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