コアな篠原美也子ファンではないけれど、どうしようもなく落ち込んだ時、一番涙がこぼれるのは彼女の歌だったりします。このアルバムは、人生の岐路に立った時の、特別な緊張感が詰まっているように思います。挫折に打ちのめされても自分の中の大切な物を守り、そこに留まる事を良しとしない。そして弱った心を、その哀しみをありのままに伝える歌。今まで何度も心を支えてくれました。
1995年リリース、現在は廃盤ではありますが名曲揃いです。
私見ですが、メジャー時代で最高傑作ではないでしょうか。
日常の何気ない情景から、生きる事に対しての意味・葛藤が
感じられます。
一曲一曲はまるで短編の物語。
それぞれが独立したストーリーであるのに、アルバムを聴き
終えると、ひとつの人生映画を見終えた後の感傷に近い感覚。
これ程までに人間臭さを表に出す歌い手は少ないけれど。
それが彼女の武器でもあります。
彼女独特の細かな心情描写、詩の力。泣かずにはいられない。
強がりを言いつつも、実は正反対の心。表と裏の自分。
繰り返す毎日。流されてもいいじゃない。
それに意味を見つければ。。。
とにかく、曲の流れが秀逸です。
9.Fool in the Rain〜10.Dear の連携は泣かせてくれます。
良いものであっても売れるとは限らない邦楽の世界。
もっと陽の目が当たっても良かったのではと悔やまれますが、
今となっては知れずとした名盤として聴きいってます。
泣けます。
全曲ホントに素晴らしい。ホントにすごいと思う。
惹きつけられるメロディも、ピアノの演奏も、
せつない歌詞も、優しい声も、なにもかも。
涙がこぼれるのは、目に見えない無形の歌が
大切な宝物のように愛おしいから。
Wing with wind 、いいなぁ、やっぱ。
しかし、こんなに感動する歌って他にあるのだろうか?
歌の世界遺産!
間違いなし。
これも収録曲の情報がないので、メモしておきます。
2枚組で1枚目がバンド・ヴァージョン、2枚目がピアノ・ヴァージョンのようです。
《Red Side(Band selection)》
01.秒針のビート
02.Stand and Fight
03.bouquet toss
04.split
05.白い月
06.Rainbird
07.願わくば
08.逆光
09.永遠を見ていた
10.Journey
11.Time will tell
12.空に散る
《Blue Side(Piano selection)》
01.Passing
02.flower
03.流星の日
04.夜間飛行
05.only you
06.感情
07.満天
08.情熱
09.HERO
10.葉桜
11.ひとり
12.my old lover
収録曲の中、「空に散る」と「my old lover」の2曲が新曲。
また、「flower」と「夜間飛行」はボーカルを録り直したそうです。
全曲リマスタリングということで、これまでのアルバムを持っている方も楽しみなベスト盤と言えるのではないでしょうか?
個人的には、「bouquet toss」、「逆光」、「願わくば」や「葉桜」あたりが好き。
美也子さんのことだから、あの曲を落とすのは惜しいとか、悩みに悩んだんでしょうね。
「afterglow」がないのが残念ですが、言い出したらキリないですね・・・。
彼女(同世代なので、親しみを込めて彼女と呼ばせて頂きます。)の歌の最大の特徴は、その歌詞にある。 旋律の美しさが際立つ歌や、メロディと歌詞のバランスで魅せる歌など、歌を構成する要素は色々あるが、彼女の歌を支えているのは間違いなく歌詞である。
過去のバンドヴァージョン、現在のピアノヴァージョン、どちらも素晴しいのは、彼女の繰り出す言葉の力が曲を支配しているからだ。合わされる楽曲は彼女の言葉を伝える為の方便に過ぎないのではないかと思える時すらある。
彼女の言葉はみな厳しい。押し潰されそうな現実に直面しながら、それでも逃げを許さず立ち向かっていけと叱咤されるような厳しさがある。しかし、それと同時に、現実(真実)に向き合う為に必要なことは何かも彼女は伝えてくれる。必要なのは夢ではなく、ほんの少しの希望なのだ、と彼女は優しく説く。 ありふれた、飾らない言葉たち。だがしかし、彼女の愛するアスリート達のように、削ぎ落とされ、研ぎ澄まされた言葉は、深く、深く、心に届く。
彼女をまだご存知ない方は、一度彼女のHPを訪れて下さい。特にエッセイは必見です。彼女の生み出す言葉たちのルーツを垣間見ることが出来ます。
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