ニーナ・シモンのRCA在籍期というと名盤揃いですが、それを適当に見つくろったボックスセットです。「ベストの5枚をチョイスしよう」とか「ニーナの入門編になるような5枚を」というような意気込みは感じられないので、その点はご注意ください。ただ、各アルバムのクオリティを考えれば、当然五つ星です。
ラインナップ
1『'Nuff Said (ライブ盤)』RCA 1968年
2『To Love Somebody』RCA 1969年
3『Black Gold (ライブ盤)』RCA 1970年
4『It Is Finished? (ライブ盤)』RCA 1972年
5『Nina Simone And Piano!』RCA 1969年
3と4を入れるなら『Emergency Ward!』(RCA 1972年)を入れたほうがいいとか、ニーナのファンならみんな持ってる5をなんでわざわざ入れたのかとか、いろいろ思うことはありますが、これは福袋なのだと納得しましょう。福袋にはとびきり素晴らしい作品も入っています。私のオススメは以下。
1-6."Why? (The King Of Love Is Dead)"。正式な録音はこれ限り。ニーナのバンドのベーシストであるジーン・テイラーの名曲です。
2-6."I Shall Be Released"。ボブ・ディランの曲。最初から彼女の曲だったんじゃないのか、というくらいハマってます。
4-3."Funkier Than A Mosquito's Tweeter"。彼女の全録音でもっともファンキー。ぶち切れたシャウトと驚異的な打楽器。
とまぁ、いろいろ楽しめます。簡素な紙ジャケ(いい感じ)だけで解説の類はいっさい入っていないので、その分安い。ニーナのコンプリートを目指す人や、とりあえずニーナの曲を色々聴きたい人に向いています。
CD1はボーナストラック2曲を含む全13曲とブックレットに書かれていますが実際にはボーナストラック無しでオリジナルの11曲しか入っていません。残りの8枚は大丈夫のようです。気になる方は買わないほうjがいいでしょう。
全体に、軽い感じの歌を集めたような気がします。欧米人の好みに合わせた選曲なのかもしれません。私個人は湿っぽい泣きの歌が好きなので、星を一つ減らしました。
また、原盤がすでにそうなのかもしれませんが、曲の終わりの音が消えきらないところで、ぷつんとカットされているのも、気になりました。
次に、良い点を。
9曲目の"House Of The Rising Sun"(朝日の当たる家)はすごいです。昔、浅川マキの「朝日楼」(朝日のあたる家)を聴いたときも、ひえーっ、とひっくり返りましたが、ニーナシモンのこの歌にも、ひえーっ、でした。そこまでやるか、二人とも。----はい、そこまでやるのです。
これ1曲のために購入しても損はないと思います。
これこそがピュアなニーナ・シモンだ。ニーナは色々なタイプのアルバムを作っているけれど、これを聴くとかの女の音楽がゴスペルやブルースをルーツとしていることがよく分かる。伴奏はみずから弾くピアノだけというシンプルさ。だからこそ際立つかの女の個性。他のアルバムと比べてたしかにジャズっぽさは後退しているが、このナチュラルな表現は味わい深く、聴き飽きることがない。それほどの重厚さも迫力もないのに、気軽に聴き流すことはとうていできない。つい聴き入ってしまうのだ。ニーナはいいアルバムを遺してくれた。
のーったり、まーったりで、味はあるけど時々退屈、 というイメージがあったのですが、16.「ゴー・トゥ・ヘル」で かなりスイングしているのに驚きました。 全体の遅れそうで遅れない、絶妙タイム感覚は デクスター・ゴードンのテナーサックスに 通じるものがあると思います。 大名盤「ヒア・カムズ・ザ・サン」からの曲も 多数収録されております。とてもいい選曲だと思います。
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