環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)
TVのCMで「エコエコ」と連呼されたり、怪しげな環境NPOの活動などに接すると眉に唾をつけたくなる人々(私を含め)には、快哉を叫びたくなる内容です。
現在の、「印象としては地球に優しいリサイクル」が主流のなっている中で、常識をあえて根本から疑って考えてみる態度というのは大切なものと思います。
ただし・・・危惧を憶えるのは、私を含め多くの人々が地球環境やリサイクルについて科学的に分析する知識などを持ち合わせていない状況で、このような書籍に接すると、極端に「現在の環境運動は無意味、非科学的」と即断し、現在の大量生産・大量消費社会を無限定に容認してしまうことにはならないか、ということです。
著者のサイトを見てみると、リサイクルをエントロピー増大の法則と絡めて論じていますが(リサイクルはこの法則に反する動きだ、と)、エントロピーは総体としては確かに増大しますが、局所的に減少することは普通にあり得ます。また、誤字が大量に含まれていて、それはもちろん科学的に間違っているということにはなりませんが、「内容を1回でも推敲・吟味しているのだろうか?」と疑問を持たずにはいられません。
著者は真剣に環境問題を考えているし、その主張にはいくつかの傾聴すべきものがあるように思われます。でも、本書について取り扱っているいくつかのサイトを回るだけでも、もう少し厳密な検証を経るべきもののように思います。
われわれがマスコミを通じて得る環境問題の知識を遥かに凌駕する研究が多数なされており、それらは公開されていて簡単に入手可能です。もちろん、その正否を我々素人が判断するのは至難ですが、少なくとも、環境問題について、読みやすい書籍1冊で態度を決定してしまうことが適切ではないことは理解できると思います。
エキセントリックなエコロジストでも、現状を果てしなく追認するエピキュリアンでもなく、常によりよい方向を探し続ける中庸の態度こそ、名も無き我々一般市民にとって必要なものではないでしょうか・・・。
新装版 マックスウェルの悪魔 (ブルーバックス)
100℃の水1Lと0℃の水1Lを混合すると50℃の水2Lができる。しかし、これを再び100℃と0℃の水に分離することはできない。容器の中の水分子はランダムに動き回っている。分離している状態とは、100℃の水分子が全て容器の左側に片寄って位置しているなら、0℃の水分子は全て右側に片寄って位置しているということだ。これは確率的に極めて起こりにくく、起こったとしても無いに等しい一瞬の時間でしかない。混合している状態の方が起こりうる確率が圧倒的に大きい。
この分離から混合への一方向性(不可逆性)こそが、エントロピーは増大するという熱力学の第2法則である。100℃と0℃の温度差は理論上熱機関を動かすことができる。50℃という一様な温度ではそれができない。同じ量のエネルギーでも良・不良があることが分かる。良質な力学的エネルギーは減っていき、役に立たないエントロピー的エネルギー(熱エネルギー)は増えていく。
本書は1970年に発行された旧版の新装版である。内容は古びておらず、予備知識なしで統計力学を楽しむことのできる稀有な一冊だ。マックスウェルの悪魔という架空の存在を登場させたり、人間や社会にエントロピーの概念を用いて未来を予言してみたり(その予言は見事に当たった!)、教科書のような堅苦しさは感じさせない。トピックも豊富で、永久機関やマイナスの絶対温度、あるいは情報理論におけるビットとエントロピーなど興味深い話が満載だ。他のレビュアーの方々の評価が軒並み高いので読んでみましたが、皆さんの評価どおりです。私も星五つ。
ENTROPY PRODUCTIONS
毒針がびしびしささっていきます。それもラップにのっかってね。これがまたのりのりでいけてます。タブーに挑むこのバンド。かなりあぶね~~~~。ブラスがきちんとアレンジされて攻撃してきます。知性の光るアルバム。10点中6点 飽きは早いか。
人たらしの流儀
■この本はインタビュー形式です。
その分読みやすいですし、内容が浅い部分はあると思います。
■しかし、佐藤優という人物は独自の交渉術・読書術等を身につけていて、
他の類書には無いノウハウを学べます。
■佐藤優という人物の入門書としてオススメします。