ベスト・オブ・スウィング・ジャズ
スウィング・ジャズが大好きな50代の者です。高校時代に、ここに収められている曲を吹奏楽で演奏したこともありますので、1曲1曲に思い入れがあります。
このCDは、『ベスト・オブ・スウィング・ジャズ』というコンセプトの名の元に、当時のオリジナル・サウンドの演奏を21曲集めていますので、これ1枚でスウィング・ジャズの歴史的名演奏に出会えますよ。
ベニー・グッドマン楽団の「シング・シング・シング」がいいですね。超人的なエネルギーでたたきつづけるジーン・クルーパーのドラム・ソロは、今聴いても感動します。本当に素晴らしい。それをバックに、ベニー・グッドマンが華麗にソロを決めます。スウィング・ジャズの定番の1曲ですね。
勿論、グレン・ミラー楽団の演奏もいいですよね。在りし日のダンス・ミュージックとも言える「ムーンライト・セレナーデ」の冒頭のハーモニーを聞いただけで、グレン・ミラー・サウンドの世界に入りこみます。
「真珠の首飾り」のサックス・パートのスウィング感も特徴的ですね。とてもよく乗れています。ボビー・ハケットのコルネット・ソロは今聴いてもステキです。
「イン・ザ・ムード」のイントロも有名ですし、繰り返し演奏されるテーマは、スウィング・ジャズの代名詞とも言うべき演奏ですね。
どの演奏もそうですが、聴いているだけで気持ちが昂揚し、リラックスできます。
難解な音楽とは全く無縁ですから、多くの人に今なお愛され続けるのも良くわかります。
デューク・エリントン
世界中のミュージシャンが敬愛するデューク・エリントン、
かの故武満徹が深く愛したその音楽・・・
だが全く意外な程、今まで日本では関連本・研究書の類が見られなかった。
この本は、日本初のデューク・エリントン研究本であり、
著者のデューク・エリントンに対する真摯な思いにあふれた好著である。
著者は、横浜が世界に誇るジャズの祭典「横浜ジャズプロムナード」の芸術監督を
長年務めている人物で博識で知られており、これ程適した著者もいないだろう。
特に付記されたデータは海外の研究本にもない程の詳しさで
日本のデューク・エリントン研究を切り開いたという意味で重要な一冊である。
日々の泡 (新潮文庫)
これは、いままで読んだ本の中でも3本の指に入る奇妙な作品でした。まず、その世界観が目を引きます。例えば開巻早々、主人公のコランが身支度している場面で、彼が拡大鏡に顔を映すと鼻翼のニキビがおのれの醜いさまを恥じて皮膚の下に逃げ込んでしまうし、洗面台の蛇口からはウナギが這い出してくるし、台所の電気オーヴンの調節メモリは『ほぼよろし』と『ちょうどよろし』になってるし、演奏する曲によって様々なカクテルを調合するカクテルピアノなんてのが出てくるし、と、こんな具合にヴィアンの創造する世界は、ファンタジーとも童話とも違う独特の世界になっているんです。
この珍SF的な、いってみればどことなくユーモラスな世界にヴィアンは唐突に残酷な出来事をからめていきます。大勢の人が簡単に死んでしまうし、ラストの貧しい葬儀の場面等はほんとに痛ましくて胸にせまります。この両極端である諧謔味と残酷さが変な具合にシャッフルされてとてもシュールな印象を受けます。頭で理解するより先に心が反応するような感じでしょうか。
そんな奇妙な世界で三組のカップルの様々な試練が描かれます。物語の終盤へ向けて、陽気な音楽が次第に音を外していくように彼らの運命は悲しみの一途を辿ります。
うう~む、もうヴィアンはこの1作でおなか一杯って感じなのですが、かといって否定する気もない。いいか悪いかと問われれば、6:4でいいという感じでしょうかね。どうにも奥歯にモノがつまった感じだ。隔靴掻痒的ともいえます。とてもビミョー。どちらにせよ、ボリス・ヴィアンという人は、常人離れした芸術家肌の人だったんだなぁと強く思いました。
Money Jungle
某評論家がエリントンを聴くならこのアルバムから、と言っていた。
その意見には必ずしも賛成しかねるが、とにかく凄い音楽です。
エリントン楽団の音楽のイメージで聴くと、ぶっ飛びます。
この3人の顔合わせなのだから、一筋縄ではいく筈が無いのですが、とにかく圧倒的
な存在感のある音楽。
ミンガスとローチも良いのですが、特にエリントンの偉大さが改めて体感出来ます。